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昼間の仕事



俺は2月から通いだした。


通勤時間は実家から車で片道約1時間半掛かるが朝の景色は何気に新鮮だった。


でも最初だけね…毎日通うと道も混んでるし、人も多いしイライラするよね…


仕事内容はちょいと特殊だ。誰もが使わないようなsin cos tan(サイン コサイン タンジェント)も使うし、元素記号も使う…余り詳しく書かないが、化学の世界で物を作り、加工して企業に売っている。


ま〜一言で言えば職人だ。


しかも短大は出て無いが、俺がいた科の実習はこの仕事をやる上での基礎を教えていたので俺は全くの初心者では無かった。


仕事初日…俺はビックリした…

仕事内容が楽すぎる…


『えっ?もう終わりですか?』


上司「終わりだよ!」


昼間の仕事ってこんなに楽なのか?


『いつもこんな作業の流れですか?』


上司「そうだよ!」




マジかよ…


水商売に比べたらあまりにもやり甲斐が無い…

こんなので本当に給料貰って良いのか?思うぐらいだ。


給料は18万スタート。週休2日、ボーナス2回、社会保険…


でも…正直…まだ仕事するにはまだ早かった。


体力的には問題ないのだが、精神的に疲れてくる…


仕事がやりたくなったのはただ身体の調子が良かっただけだった。


夜は寝れなくなるし、薬も止まらない…


そう簡単に夜行性が治る訳がない…


しかも…薬が次の日まで残ってしまうので非常に厄介だ。


仕事があるのに寝れないプレッシャー


薬を飲むと次の日に残るプレッシャー


そのストレスは全部…


エーちゃんに向けられていた…



この頃の俺は鬱だし、今の俺にも何を考えていたのか分からないが、全ての原因はエーちゃんだと思い込んでいたのだろう…


しかし…エーはそれさえも受け止めてくれていた。


凄い優しさだよね。


そんな状況で…

また…事件が起きた…



上司「ふくちゃん!君さ社会保険入れないよ?どーいう事?」


『マジですか?』


上司「すでに加入してるって!」


『…ちょっと調べてみます…』


素で混乱した…


つまり…俺が別の会社で働いているって事だ…


俺はここに居るのに?


名前を語られているのか?


訳が分からん…


次の日…休みを貰って調べに行く事に…


〜次の日〜


社会保険の事務所に調べに行った。


事務所の人に説明すると…


事務員「プライバシーの保護の為教える事は出来ません。」


『プライバシーの保護って…俺本人だけど?』


免許を見せたが…怪しんでいる…


そりゃ…そうだ…


働いてない会社で働いている事になっている。って言っても信用出来る訳がない…


『これって…非常に不味い問題なんじゃないの?本人がここに居るんだよ?社会保険の誰かが関与してるって事はないの?それとも社会保険のミスかい?あなただけで判断出来る状況なら別にいいけど…これはあなたで判断出来ないケースじゃない?出来ないなら上司呼んで来てくれる?』


事務員「しょ…少々お待ちください…」


多分…社会保険のミスだろう…


事務上司「お待たせいたしました。」


『話は聞いたと思うけど…俺は何処で働いている事になってるの?』


事務上司「※※って会社で御勤めされた事ありませんか?」


『無いよ…そっちの間違いとかじゃなくて?』


事務上司「それは無いと思います。」


『どんな仕事なの?』


事務上司「芸能プロダクションですね…」


芸能プロダクション?




しまった…


これ…ショウさん関係だ…



この芸能プロダクションっていうのは海外からタレント(女の子)を連れて来てフィリピンパブとかに働かせる会社だ…


働いている日数が長ければ長いほどタレントを日本に連れてこれる…


2〜3年後にフィリピンパブをオープンさせるからその準備に名義だけ芸能プロダクションに置けって言われてたんだった…


どーしよ…


事務上司「知りませんか?」


『えっ…分かりませんね…』


どーしよ…とりあえず電話番号教えてもらうか…


『じゃー後は自分で電話して聞いてみますので連絡先と代表者の名前教えてもらえますか?』




連絡しないと不味いよな…


1度電話してみるか…


とりあえず…揉めてショウさんに迷惑が掛からない様にしないと…



エーちゃんも心配していたので事情を説明した…


エーちゃん「なるほど…」


『ちょっと電話してみる。』


エーちゃん「いいよ!私が電話する!」


『話がこじれたら不味いから俺が電話するよ…』


エーちゃん「ふくちゃんの方が危ないよ!私が電話するから休んでなよ!」


『…分かった…じゃー任せるよ…』


何か…一気にどん底まで落とされた気分だった…


やっと開放されたと思ったのに、まだ付きまとうの?


自由にしてくれよ。



その後直ぐエーちゃんが電話してくれた。

代表に事情を話すと向こうも分かってくれたみたいで直ぐに名前を消してくれると言ってくれた。


エーちゃんは安心していたが…

俺はまだ鬱なので気分が落ちたら這い上がるのに時間が掛かる。


鬱って最悪だよ…


ま〜今考えたらこんないい会社ないけどね!

俺の代わりに税金払って…年金払って…1年と数ヶ月…

有り難い話だよ!


何で当時はこうやって考え無かったのか不思議だ!

ま〜それだけ考える余裕が無かったんだね。


鬱の俺はエーちゃんに必要以上迫った。仕事を辞めさせて俺の会社の近くの病院に勤めさせたり…


自分も何を求めているか分からない。


エーちゃんが新しい職場に慣れ始めた頃エーちゃんの様子がおかしくなってきた。


俺からの嫉妬、束縛…多分限界に達していたんだろう…


態度が冷たくなってきた。


エーちゃんに用事が無ければ会話もする事がない…


お互いに鬱だったかもしれない。



エーちゃん「今度の金曜日実家に泊まりにいくよ!土曜日の昼間には帰るから息子宜しく!」


『分かった…』


なんとなく…怪しかった…


いや…鬱だから気になったかもしれない。


俺はエーちゃんの携帯を覗いてみた。




知らないメアドに送信履歴がある…


「先生は今度の金曜日空いてます?金曜日勉強教えてもらってもいいですか?」





またか…


『これ何?またかい?』


エーちゃん「………」


『実家に帰るのは嘘だったんだね…』


エーちゃん「だってそうしないとふくちゃん駄目って言うし、信用してくれないし…」


『このメアドは?どっかにメモしてあるの?』


エーちゃん「覚えた。」


『ふーん…。それってもっと怪しくないか?こんな事する奴だから信用出来ないんだよ。』


エーちゃん「怪しくないよ。何もしてないし…」


『何て返信があったの?』


エーちゃん「何もない。」


『それで行くつもりだったの?』


エーちゃん「うん…」


『話聞いてても関係が見えてこないな。会って話しても平気でしょ?何も無いんだし、今回は相手がいるんだし…』


別に会うつもりはないけど少し牽制してみた。


エーちゃん「分かった。会ってみれば分かると思うよ!何も関係無いって!むしろ会ってくれたほうがいいや!」


えっ?そんな反応かよ!


会うつもりはないのに…


めんどくさい事言っちゃったな。



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