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地獄の日々2




その日は11月中旬…

デリヘルがオープンして1ヶ月半が経っていた…


俺はショウさんに言う事にした。


『ショウさん…話があるんですけど…いいですか?』


ショウさん「分かった。後で行く。」


辞めるのに普通の従業員は3ヶ月前に言わないといけないので、とりあえず来年の3月一杯で辞める事にしよう…




ショウさんが出勤してきた…



緊張する…


『お早うございます。』


ショウさん「おう…話って何だ?」



『実は…』



『もう限界です…辞めさせてください…』


ショウさん「あぁ?」


『出来れば直ぐに辞めたいんですけど、引き継ぎなどあるので来年の3月一杯で辞めさせてください…』


ショウさん「………」


ショウさんが電話をしだした。


ショウさん「お疲れーオーさん!あのさーふくが今直ぐ仕事辞めたいなんて舐めた事言ってんだけど…」



ショウさん「……分かった。待ってるよ。」



ショウさん「今からオーさん来るってよ。」


マジかよ…


オーさん来るのか…


オーさんが来るまでの1時間はずっと無言だった…


そして…


オーさんが到着した…

オーさんは着くなり怒鳴り掛かった。


オーさん「テメーこの野郎!ふざけた事言いやがって!何が今直ぐ辞めたいだ!」


『引き継ぎもあるので3月一杯で辞めようと思うのですが…』


ショウさん「テメーはさっき今直ぐ辞めたいって言っただろ!」


『今直ぐ辞めたいのは本当です。』


オーさん「舐めんのもいい加減にしろよ?」


ショウさん「…で理由は?」


『…全部…もう…一杯一杯です…』


我慢していた気持ちが溢れ出した…


『俺は何の為にここで働いているんですかっ?給料は他の従業員より少なくて…休みも無くて…朝から朝まで働いて…客が来なければ俺のせい…俺はショウさんの何なんですかっ?』


涙が出た…


言いたい事言ったから?


でも…まだある…


他にも沢山ある…


言いたい事は沢山ある…


ショウさん「…金か?金ならくれてやるよ…幾ら欲しいんだ?」


『…要りませんよ…それに…エーちゃんにもデリヘルで働いている事文句言われ…もう限界なんですよ…』


オーさん「女の為に仕事辞めるのか?そう言えば昔エーちゃんはデリヘルやってたんだよな?1回やってる奴はまた風俗に戻るぞ?エーちゃんは戻りそうなタイプだな!そんな女の為に仕事辞めるのか?」


『エーちゃんはもうやらないって俺と約束しましたからしませんよ!』


ショウさん「絶対またやるね!」


…ショウさん…その発言は…酷過ぎじゃないですか?


オーさんなんか…笑ってるし…


悔しい…


『やりませんよ!』


ショウさん「じゃー飲み屋またやればいいじゃん!それなら働けるだろ?」


『だから…もう限界なんですよ…』


ショウさん「分かった。ならチューリップを月100万で貸してやるよ!それならいいだろ?」


オーさん「いいじゃんか!抜ければ全部お前の利益だぞ!まー最初に必要な金はなさそうだけどな!」




正直…飲み屋はやりたかったが…

今は仕事を辞めたい。


もう疲れたんだよ…


チューリップは…やりません…嬉しいですけどやりませんよ…』


オーさん「お前馬鹿か?店のオーナーになれるんだぞ?」


ショウさん「終わってるな…こいつ…」


オーさん「分かった…辞めていいよ…」




オーさん「普通の従業員は3ヶ月前に言わないと辞められないから幹部は1年な…1年経ったら辞めていいよ!」


1年って…


無理だよ…


身体がもたねえよ…


『…1年なんて保たないっすよ…限界って言ってるじゃないですか…』


オーさん「なんだ?お前?俺の方が大変だし俺の方が限界なんだよ!テメーのなんて限界じゃねぇーんだよ!」


『俺の方が明らかに大変ですけど?限界じゃ無ければこんな話しませんよ…』


オーさん「まーどんなに辞めたくても1年は辞めさせないけどな…」



なんで…辞めるだけに…


こんなに引き止めるんだ?


俺はそんなに必要なのか?


必要だったらこんな仕打ちは無かっただろ?




何の為に……?


オーさん「俺達は普通の仕事じゃないんだ!そう言う世界なんだよ!」


『ヤクザって事ですか?』


オーさん「ヤクザではないがヤクザみたいなもんだ!わかんだろ?それくらい!」


『そうですか…ヤクザみたいなもんですか…』


オーさん「筋を通さないで辞めようなんて甘いんだよ!」


筋ってなんだ?


俺は今まで沢山尽くして来たのに…


『…筋通さないといけない世界なら…筋通せなかった事に詫び入れますよ…その代わり…辞めさせてもらいます…』


オーさん「何すんだ?」



『…指詰めますよ…筋を通せなかったから…その代わり…辞めますよ!』


オーさん「ヤクザじゃねーんだよ!それに誰が後始末すんだよ!テメーの指なんて要らねぇよ!」


『さっきヤクザって言ったじゃねーかよ!』




ここで…ショウさんが酷い事を言い出した…


俺は愕然とした…


まさか…ショウさんがそんな事言うなんて…


ショウさん「チューリップ潰したんだから300万用意したら今直ぐ辞めていいよ…」



今まで尽くして来て…


これかよ…


もう…


誰も…


信用出来ない…


オーさん「そうだな!300万用意して辞めればいいじゃんか!」


ヤクザじゃねぇって言っときながらしてる事ヤクザじゃん…




『金なんか…払いませんよ…』


オーさん「じゃー1年頑張ってくれよ!」




ショウさん「お前さっき金要らないって言ったよな?」


『…言いましたよ…』


ショウさん「じゃー3月一杯まで給料無しで働くか1年間頑張るかどっちか選べよ!」


この発言で…


俺の心は…


完全に折れた…


1番信用していたショウさんに…


裏切られた…





涙が止まらない…



正直…このあと…何を話されたのか覚えてない。


何か沢山言ってたみたいだったけど…聞いていなかった…


ずっと…


考えていた…


俺は何だったんだろう


俺は利用されていただけだったんだ




そんな時…デリヘルの電話が鳴った。


客が入ったみたいだ。


オーさん「ふく!客が入ったから行って来い!じゃー話は1年間と言う事でいいな!」


『………』



この日の仕事は何気に客が来て…夜は忙しかった。


終わったのは3時頃…


忙しかったのでショウさんも残って最後には俺とショウさんだけになった。


なるべく…一緒に居たくない。


ショウさん「どーせ辞めるんだろ?1年も保たねえんだろ?」


また…話するのか?


もう…


話したくない…


『お疲れ様でした…帰ります…』



本当はデンバリをしないといけなかったけど、俺に残っている気力は…




もう無かった。


帰りの車の中は…


ずっと…


泣いていた…


エーちゃんには裏切られ…


ショウさんには裏切られ…


いったい何処に俺の居場所はあるんだ?


とにかく休みたい…


何の問題無しに仕事を休めるのは何かないか?


一生懸命考えて…


向かって…


着いた場所は…





警察署だった…


もう夜中だったが、人は何人かいた。


『俺を…捕まえてくれないかな?』


警察「何したんだ?」


『まだ何も…とりあえず…2週間ぐらい入りたいから…何すれば入れる?強盗?』


警察「何で入りたいんだ?詳しく話してみろ!」


『…話したくない…』


警察「じゃー無理だよ!」


『…疲れたから…』


警察「そうか…疲れたのか…でも警察署に来ても何もしてやれないぞ…本当に疲れて、もう駄目なら病院に行ってみろ!相談に乗ってくれるぞ!」


そうか…病院か…


『…ありがと…帰るわ…』


今日は遅いから朝にでも行こう…

行く場所もないし、俺は家に帰った。

家に帰ると居間に飯の支度がしてあって何時でも食べれる状態だった。


今日は本当に疲れたよ…


とりあえず…酒でも飲もう…


酒を飲むと…


今までの思い出がよみがえってきた…


チューリップを始めた頃の事…


ショウさんに俺と一緒に仕事やらないか?と言われた事…


店がすげー盛り上がった事…


そして…


エーちゃんの事…


チューリップが潰れた事…


今日…裏切られた事…


また…涙が溢れ出した。





辛い…


早く…朝になって欲しい…


俺の物音を聞いたのかエーちゃんが起きてきた。


エーちゃん「お疲れ様。」


エーちゃんの顔を見た瞬間…頭に血が登った!


こいつも…




裏切り者だ!


俺はテーブルあった皿を全部投げ付けた!


エーちゃんは驚いて逃げた。


誰も居ないのに俺は皿を…料理を投げ続け…


気が付いたら部屋一面ガラスの破片で一杯になっていた…


エーちゃんがドアの向こうから


エーちゃん「そろそろ終わったなか?」


『………』


エーちゃん「じゃー片付けるよ!」


『…朝…病院行ってくるよ…』


エーちゃん「分かった。付いていくよ。」



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