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地獄の日々




デリヘルをやる事になってしまった…


そして…

従業員が決まった。

立ち上げ時はオーさんと俺…


最悪なコンビだ…


それから俺はある程度の事はオーさんに教えたし、必要な物も全部俺が作り用意もした。


出勤予定表

売上表

ブラックリスト表

客の住所表

近場のホテルの電話表

地図


そして…肝心の電話番号登録…

俺の名義で携帯を買って携帯番号と代表者は俺で警察に登録した。


これがどーいう意味か分かりますか?


つまり…捕まればグループではなく俺だけが捕まると言う事なのです。

幹部だから仕方ないかも知れません。でも…当たり前のように言われたのは疑問に思いましたよ…俺は結婚して子供も居るんですよ?


疑問は実はそれだけじゃありません。


他の従業員は給料25万に対して俺の給料は26万…

しかも他の従業員は休みがあるのに俺だけ休み無し…

正直…やってられないですよ…


そして従業員のミーティングの時…


オーさん「オニキスとブルーを昼間から営業する事にした!基本的に早番と遅番だが従業員が休みの日には通しもしてもらうので残業代を出すことにした!」


…聞いてないし…


オーさん「多分1人月の給料が30万ぐらい逝くと思う!月によって誤差は出ると思うが頑張ってくれ!」




これを聞いた瞬間…


俺は…どーでも良くなった…


オニキスとブルーの営業時間は13時〜24時…

それに対して俺のデリヘルは…11時〜日の出まで…

残業代なし…


俺は何の為に働いているのですか?


仕事内容だって酷い物があった。

デンバリだって俺1人…


最初のうちは暗くなってから朝まで歩いてずっとデンバリしていた…


足は豆が出来て皮がめくれる…


最初に俺が1人じゃ無理って言ったのに結局1人…

ついに限界がきて俺はショウさんに電話した!


『お疲れ様です。今日ちょっと話したい事があるので時間空けて貰っていいですか?』


ショウさん「分かった。後でチューリップに向かう。」




ショウさんがやってきた。


『お早うございます。』


ショウさん「おう。話ってなんだ?」


『俺前にも言いましたけど…1人じゃ無理っすよ!他の従業員が仕事終ったら貸してください!』


ショウさん「…分かった…」


『それから給料の話ですけど、他の従業員が30万になるのに俺は変わらないんですか?』


ショウさん「じゃーふくもオニキス手伝えばいいじゃん!」


『俺が働いている間のデリヘルはどーするんですか?』


ショウさん「知らねぇよ!」


知らねぇって……


『…そうですか…分かりました…』


ショウさん「確かにふくが1番頑張ってるよ!このデリヘル軌道に乗るまで我慢してくれないか?」




『……やれるだけ…頑張ってみますよ…』


仕事が朝までなのでショウさんとも飲みにいけない…

だから…いつの間に壁が出来ていたのかもしれない…

でも、今の俺にとって「知らねぇよ」はとても辛かった…


それからの仕事は…


苦痛でしょうがなかった…


目標がない…


人間にとって目標がないと頑張る事が出来ない…


俺は何の為に働いているんだ?


毎日1人でデンバリして…


何の為に?


酷い日なんて仕事が終わったのは朝9時…俺の出勤時間11時ですけど?


でも…


初めて電話が鳴った時はすげー嬉しかったよ…


俺がしてきた事は無駄じゃ無かった。


お客さんの住所を聞くと…あっ昨日デンバリした所だ!


とか…電話が鳴る度に俺を助けてくれた…


でも…1人じゃ限界があった。いくら夜から朝までデンバリしたって、周れる範囲は決まっている。


しかもデンバリは直ぐに剥されるので張り直すのだけで1日が終わってしまう時があった。

そうすると電話など鳴らない。オーさんは何もしてないのに


オーさん「ちゃんとデンバリしてるのかよ!」


と言われた…


ショウさんには人手を増やしてと頼んだのに増えない…


結局増えたのは次のミーティングの時だった。


ここでショウさんが言ってくれたのだが…オーさんが


オーさん「ふく1人で平気だろ?」


と言ったのだ!


この一言に俺はブチギレてしまった…


絶対にキレてはいけない場所で…


部下が部下達の前で上司にキレると言う事は、その上司の威厳を守る為にキレた者はけじめを付けないといけない。そんな会社だった。


俺はキレた場所が悪かった…


『俺1人じゃ無理なのにそれをやれって言う事ですか?それで…客が来なければ俺のせいですか?』


オーさん「お前何だ?その態度?」


ショウさん「おいふく!お前の言いたい事も分かるがその態度はオーさんに謝れよ!」



…やってしまった…


『……すいませんでした…』


オーさん「今のはふくだからこれで済んだけどお前達が言ったらクビだから覚えておけ!」


俺がタイマンでキレる分には構わないが他の従業員がいる前でオーさんに歯向ったのは不味かった…


でも俺の意見をショウさんが通してくれたので皆は手伝ってくれる事になったのだ…




ミーティングが終わった後ショウさんに呼ばれた。


ショウさん「お前何やってんだよ!俺も焦ったよ!」


『すいません…納得いかなくて…』


ショウさん「もういいよ!とりあえず今日から他の従業員も手伝うからな!頑張れよ!」


今日からだいぶ楽になりそうだな…


でも…実際はあまり変らなかった。


デンバリする量は増えたけど俺が貼る分は変らなかった。

いや…結果が欲しかったから手が空いてる時はずっとデンバリをしていたのだ。


その結果…


奇跡が起きた…


その日は週末だったからかもしれないが夕方から電話が沢山鳴った!


その電話は夜中まで鳴り続け…


ついに最高本数の20本を叩き出した!


純利益は…なんと…


12万!!


その日のグループ内で1番の記録だ!


デリヘルを始めてからこの日だけはゆっくり寝れた。

寝付きが良かったのは久し振りだった。

でもこの日を境に本数は激減…平均6本ぐらいになってしまった…


オーさんに歯向った俺は


オーさんからボロクソに言われ


ショウさんにはため息をつかれ


エーちゃんからはデリヘルだけでは働いてほしくないと言われ


朝から朝まで働いて


休みが無くて…


今までの辛い事件も全て重なり…


俺の居場所は完全に無くなった…


何処にいても…


何をしていても…


休まる場所は無い…





もう…



仕事辞めよう…



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