最低な男6
10月に入った頃チューリップに「あゆ」と言う娘が入店した…
別に顔は普通なのだが、男心をくすぐると言うか何と言うか…
たまに上手い事を言って心を掴むのだ…
客も次第に持ち始めて1ヶ月経つ頃には中々指名も取っていた…
しかも家が遠いので、送りも最後になってしまう。
と言う事は必然的に話す機会も増えると自然に仲良くなる…
女の子にしてみれば店長と仲良くしておきたい。
でも俺は店長…そう簡単に心を開く事はない。
でもあゆは…心を掴むのは上手かった…
あゆ「店長の好きな歌何?」
『何だろ?そうだな…大黒摩季のら・ら・らかな?』
あゆ「じゃ〜次お客さんがカラオケ入れた時店長の為に歌うね!」
心掴まれました。
全く…俺って…駄目な男です。
〜次の日〜
客に付いて居るあゆが俺の元にやってきた…
『どした?』
あゆ「約束した歌店長の為に歌うね!聞いててね!」
…
本当に歌いました…
またあゆが来て、
あゆ「店長聞いてた?」
『聞いてたよ!中々良かったよ!』
あゆ「本当に?じゃー私の持ち歌にしよ!」
心打ち抜かれました。
本当に…俺は…駄目な男です。
あんな事言われたら調子に乗りますね。しかも送りが最後だし、話す機会も多い…
でも俺も店長ですから自分の腹の中は話さない。
逆に仲良くなって女の子達の腹の中を教えてくれないかな?と考え始めた…
なら仲良くなっておいたほうがいいな…こっちから寄る訳ではなく、向こうから来たから利用しよう!
『どお?この店?長続きしそう?』
あゆ「うん!凄い居やすい店だよ!」
『他の女の子はどうかな?』
あゆ「どうかな?聞いてみるよ!」
『わりーね!』
ここでとんでもない事を言い出した…
あゆ「私さ…昔からそうなんだけど…人を裏切らないと生きて行けないんだよね…今利用しようと思ったでしょ?別にいいよ!私もそう言う立場がほしいしね!」
!?
いきなり…何だ?
人を裏切らないと生きて行けない?変わってる奴だな…
『何で俺にそんな事言うの?』
あゆ「何でだろうね?私もこんな事人に言うの初めて…」
確かに人に話す事ではない…。
あゆ「高校の時から担任と不倫して、いい様に使われて来た…それからかな?人を裏切るようになったの…」
深い過去がありそうだけど…俺に何を言いたいんだ? 何を求めているんだ?
『そっか…大変だったんだな…』
あゆ「うん…辛い過去だったよ…」
『それで俺に何をしてほしいの?』
あゆ「別にないよ。何か店長なら分かってくれそうな気がしたから言っただけ…」
何か…めんどくさくなりそうだな…
それからと言うと送りの時には色々な話を教えてくれた…自分以外の女の子の…
あの娘は客と寝たとか
あの娘はまだ処女だとか
あの娘は客と付き合い掛けてるとか…
何でも話してくる…
裏の事全て…
かなり役に立ったよ…
正直…
中にはクビにした女の子もいた。その女の子はシャブ中だった…
本当に嬉しそうに話す…
そんなに人を裏切るのが嬉しいのか?
俺には理解出来なかった。でもこんな娘を側に置いとくと仕事も楽だ。
でもいつか裏切る日が来るかもしれない…そんなかっとうをしていた…
あゆも心を掴むのが上手いと説明したが、俺は何か不思議な魅力?危ない魅力?にハマって行った…
決して好きな訳では無かったがエーちゃんとの隙間に入り込んで来ていた。
そんな時…事件が起きた…
その日も話しをして家の前に着いた…
『お疲れ様〜!また明日ね!』
あゆ「お疲れ様!」
助手席から1度降りて
あゆ「あっ!忘れ物した!」
『何を?』
探したが分からない…
そしてあゆが乗ってきて…
…
俺にキスをした…
『えっ?』
あゆ「おやすみ!店長!」
………
久し振りにドキドキしている。
何だろう?
悪い気はしなかった。
多分そのキスがきっかけだったのか…メールもするようになったし送り帰りには…キスもするようになっていた…
でも女の勘ってすげーのね…
たまにエーちゃんに送りを頼んでいて終わる前にチューリップに来て貰っていたが…
エーちゃん「何かあの娘…ふくちゃんに気があるんじゃない?」
『それはないでしょ?』
エーちゃん「あの娘の名前何て言うの?」
『あ…あゆだよ…』
エーちゃん「覚えておこう!」
ドキッとしたよ!
覚えなくていいから!
丁度11月に入った頃色々動きがあった…
まず…借金の方なのだが話がまとまった。
エーちゃんは春に裁判するみたい。
俺は240万が130万に減額になったのだが、弁護士のほうが分割分を残り全部払ってくれと言うのだ…
2回払いかよ!
金無いって…
説明しても駄目だった…
なら最初から2回払いって言ってくれよ…
勿論金は借金した預金から金を全部払った。
何か余りにも冷たい弁護士だったので、文句を言ったら仲介役を降りると言い出して来た。(本当ならこれから先は弁護士を通して借金を返さないといけなかった)
『もう必要ないんで…こちらからお断りです。』
あとは各社に連絡をして決まった額を毎月返す事になった。
実はこれが良かったのだ…
弁護士が仲介役に居ると決められた額しか返済する事が出来なかった為、
返済に3年近く掛かった。
でも自分で交渉したらある時は幾らでも返して良いと言うのだ!
これはラッキーだった…
そして…もう一つの動きは…
みーちゃんの事だった…
リーとみーちゃんの間は…冷えきっていた…
みーちゃんはリーの事が好きなのだが、リーは全然好きじゃない…
その事は知っているのだが、みーちゃんの仕事に影響が出て来た…
仕事を休むようになって来たのだ…大体休む前の日はリーと喧嘩していたり…会えなかったり…
それを見ていたみーちゃんの姉ちゃんがリーに文句を言った…
みー姉「リー!あんた何考えてるの?もっと大事にしてやりなよ!」
リー「お前には関係ないだろ!文句言うなよ!」
こんな話をしたら…
俺も巻き込まれるのは間違いなかった…
みー姉「ちょっと店長!リー生意気過ぎるんだけど!どーにかしてよね!」
『分かったよ…説教しとく…』
勿論説教などしなかった。
『リー!もう限界?』
リー「もう無理だね!別れてもいい?」
『分かった。店として痛いけど仕方ないか…』
そして…その日にリーは別れた。
それからみーちゃんは1週間休んだ後出勤してきて
みーちゃん「ふくちゃんごめんね…お店辞めるよ…」
『分かった。リーの事は知ってる…ありがとね!これからも頑張って!』
みーちゃん「はい…」
みーちゃんは泣いていた。俺は今までリーの彼女を沢山見てきたが多分…みーちゃんが1番良い娘だっただろう。
みーちゃんも辞めた事でみー姉も辞めて行った…
みー姉「お世話になりました。店長…リーと友達辞めたほうが良いよ!あいつ最低だし、いつか裏切られるよ!」
『男には良い奴だよ…お疲れ様!』
これでみーちゃんとみー姉ちゃんは居なくなってしまった…




