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最低な男5



エスさん「昨日…夜中に旦那の店に行ったら…ふくちゃんを辞めさせろっていきなり喧嘩ごしで言われて頭に来たから、私もふざけんじゃないわよって喧嘩になっちゃってさ…」


『マジですか?』


マジで切れそう…


エスさん「それで話もこじれて帰ろうとした時…」


『時…?』


エスさん「土下座されて…ふくちゃんを辞めさせてくれって言われたんだよね…」


『別に辞める気はないですよ!』


エスさん「男が土下座ってわかる?あの糞生意気な旦那がふくちゃんの為に土下座したんだよ?」(エスさんと旦那は犬猿の仲)


エスさん「ふくちゃん…この会社…辞めなさい。」


『はい?何言ってるんですか?』


エスさん「旦那に土下座されてさ…血の繋がってないふくちゃんにそこまで出来る奴は居ないよ?私と話す前にふくちゃんと話して喧嘩したのも聞いた。」


『待ってくださいよ!辞めろって言われても借金もあるし、無理ですよ!』


エスさん「そこは旦那にも妥協して貰った。借金もあるから次の仕事が決まるまでと、営業の引き継ぎもあるから、最低でも1ヶ月は無いと会社にも迷惑が掛かるって言っといたよ。」



!?


借金!?


やべぇ!


『借金ある事言ったんですか?』


エスさん「あれ?不味かった?でも私言ったら駄目って聞いてないし…別にいいでしょ!」



確かに言うなとは言ってないが…

どうしよ…

バレた…


エスさん「そう言う訳だから後1ヶ月で引き継ぎして!」


『マジですか?辞めたくないんですけど…』


エス「無理!旦那と約束したから!」




最悪だ…


仕事辞めたくないし。

借金もバレたし。


旦那に何て言おう…

あんなに啖呵切ったし…

もう言い訳なんて必要ないな…考えるのめんどくさいし…

正直に言うしかない。


まっ…いいか…成る様になるか!


俺はいつでもプラス思考だ。だから開き直れる。

仕事の方はエスさんに何を言っても無駄だろう… 1度決めたらもう変わらない人だ。



そして…やっぱり旦那から電話が掛かって来た。店に来いと…

店に着いて開口一番…


旦那「てめー!何で嘘吐いたんだよ!」


『親父にあそこまでして貰って、まだ借金してるなんて言える訳ないだろ。』


旦那「調べたら200万以上借金あんじゃねーかよ!てめーの生活力で払えるのかよ?」


『借金がある事は認めるが…生活力はてめーに関係ないだろ!じゃー何だ?生活力無ければてめーが払ってくれんのかよ?俺の借金だ。俺が払うから文句言うなよ!』


旦那「分かった。てめー絶対に自分で払えよ!」


『分かってるよ!話そんだけでしょ?帰るわ。』


旦那「まだだよ!仕事も辞めろよ!エスに言っといたから。何なら俺が金が貯まる仕事紹介してやろうか?」


『余計なお世話だよ!次の仕事は自分で決めるよ。わりーけどもう帰るわ。話はもうねーだろ?』


旦那「借金の事はお父さんに伝えとくからな。」


『好きにすれば?借金ある事には変わらねーし。』




やっと話は終わった。

エスさんに土下座してくれた事があるから仕事を辞める事に対しては文句は言わなかった。



すげー言いたかったけど、エスさんが旦那と約束した以上…

エスさんの顔を潰す事が出来なかった…


勿論親父からも話があると言われた…。

正直…恐い…



親父「何を考えてるんだ…」


『ごめん。ま〜でも自分で払うし、迷惑掛けないから。』


親父「当たり前だ!俺はもうノータッチだからな!」


『おう。問題はねぇ。』


案外平気だった…

次は仕事だ…


引き継ぎめんどくせーな…

エスさんはトツに引き継ぎをさせるみたいだ。そりゃ一緒に行動していればトツになるわな…


俺は自分のエリアの店をトツに引き継ぎする為に周った。

俺は大体の店の店長と仲が良かった為、辞めると伝える度に…


「うちに来なよ!」とか

「幹部にするから来て」とか


ほとんどの店から言われた。実際は前から言われていたけど…。

勿論仕事を辞める為


『検討させて下さい。』


と言っていた。


給料は何処もVIP待遇!

普通に入るよりかなり給料は高かった。


そして最後に@に行った…


@に着くと社長もいた!

丁度いい!社長とボブ、ジョンに辞める事を伝えて、これからはトツが引き継ぐ事も説明したら…やっぱり言われた…


社長「じゃー2人ともおいでよ!」


仲が良いからな…トツも誘うだろうと思っていたがその通りだった!

ここも検討して1番待遇が良い所に就職しよ…


トツ「はい!働かせて下さい!」


!?


えっ?


今なんて言った?


待て待て…

今までの店にトツが引き継ぐって説明していたじゃねーか!





冗談だろ?



そう言う冗談は嫌いだ!


トツ「じゃあ〜1月いっぱいで辞めるから2月からでもいいですか?」


冗談じゃない…

こいつ本気だ!




エスさんに何て言うんだ?


社長「ふくちゃんはどーする?」


『大事なお話なので今直ぐにお答え出来ません。検討したいので時間を下さい。』


社長「いいよ!」


『有難う御座います!』


社長「今度オープンしようと考えてるキャバクラの店長と今あるキャバクラの店長どっちがいい?」

(今あるキャバクラはあーちゃんがいる場所。人手がない為社長の彼女をママとしてやっている。だから大体社長はキャバクラの方にいるのだ。)




あーちゃんのキャバクラの店長か…

それもいいかも…

働こうかな…


『やっぱり働かせて下さい!』


社長「おっ!いいよ!…でどっちにする?」


トツ「今のキャバクラの店長でお願いします!」


!?


ちょっと待てよ!

それは俺が…


社長「じゃあ〜ふくちゃんが新しい店の店長ね!」


!?


決まっちゃったよ…


『俺も今のキャバクラでやりたいんですけど…』


社長「早い者勝ちね!だからトツね!」





やっぱ…

やりたくない…

でも…

返事した以上…

やるしかないのかな…


トツはエスさんに親父の仕事を継ぐ事になったっと伝えて辞める事になった…

結局俺のエリアは兄貴が担当する事になって引き継ぎも無事に終わった。


2月中旬の事だった。

つか…トツ…俺より早く辞めてるし…


俺が辞める日…

出勤すると社長室に呼ばれた。

兄貴と社長がいる。


兄貴「ふく!まだお前は若いから色々経験しろ!色々経験して…最後にはうちに戻ってこい!成長したふくを楽しみにしているぞ!」


社長「ふくちゃん…長い間…ご苦労さん。色々合ったけどいつでも戻っておいで!ふくちゃんは家族だから!」


すげー涙が出た…


止まらない…


はっきり言ってこんなに熱い会社はないだろう。


社長「今月はまだ残ってるけど今月分の給料!あと退職金なんてうちの会社にはないけど、これも受け取って!」


月給の他に15万円渡された。


社長「今日はもう仕事はいいから帰りな!」


『社長!兄貴!長い間…有難う御座いました!今度…遊びにきます!』


兄貴「いつでもおいで!」


マジで涙が止まらなかった。

社長室を出てエスさんにも挨拶をしたらエスにも社長と同じ事を言われた。

今でも思っていますが最高の会社です!

本当に有難う御座いました。



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