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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

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70/103

70:マジ、ファクトの町に到着する。

*ステ関係、あとがきの方に移動させました。
基本、作者の覚書用です。
 見えない敵と戦う人達の邪魔をしないよう、木々の間をすり抜けて通り過ぎると、僅か五十メートル足らずで森ゾーンは終わった。
 目の前は川があり、しっかりとした橋も掛かっている。

「ぬ。あれがファクトであるかなもし」
「ん? あぁ、町っぽいのが見えるな」

 まだ距離はありそうで、たくさんの建物が建っているのだけが辛うじて見える。

「ギルドもあるようだぞもし。港町やコールにあったギルドと同じ、塔が見えるぞなもし」
「……見えるか、シースター?」
「見えないね。ザグのって、『鷹の目』技能?」
「んむ。ここまで連れて来てくれたお礼に、この技能を比較的簡単に習得できる方法を教えるぞなもし」

 鷹の目?
 猛禽類と同じ視力になるってことか。確か猛禽類って、遠い所まで見えるんだっけか。

 橋を渡って遠くに見える町を目指しつつ、ザグの『鷹の目』習得講義に耳を傾けた。

「技能というのは、一つの技能に対して習得方法がいくつか用意されておるものもあるぞなもし」

 複数の習得方法がある場合、やたら面倒くさい条件だったり、簡単なものだったり、簡単だが時間がかかったりといろいろあるらしい。
 そして簡単且つ時間が掛からない習得条件ほど、隠し要素的なトリガーになっているのだとか。

「その『鷹の目』って、クローズドでも居られてた技能なんだよ。NPCと会話すれば習得方法もすぐに教えてくれるんだけど、じぃっと遠くを見つめろっていう内容なんだ。途中で視線を逸らしてもいいけど、同じ箇所を見つめる時間が最短でも十分以上必要で、且つ合計時間が十二時間っていう」
「うむ。簡単ではあるが、早く習得したければ他の事が一切できず、何かの合間にやろうとすれば、習得までリアル日数にしても、数日掛かるという仕組みぞなもし」
「見るって行動自体は簡単そうだけど、十二時間も連続で一点だけ見るって……相当苦痛だな」

 俺の言葉にシースターもザグも頷く。
 だがザグはこの方法で習得したわけではない。
 クローズドで習得した技能も、オープンベータと同時に全キャラリセットされているからな。
 つまりザグが今現在この技能を持っているってのは、短時間で習得できたからに他ならない。

「猟師は会話の中で、こんな話をするぞなもし。『俺は鷹が好きだ。空に浮かぶ鷹を、じっと眺めているのが好きなのさ』と」
「鷹? だから鷹の目なのか」
「まぁそれはどうかは解らぬが、この文章にヒントが隠されていたんだぞなもし」

 ヒント?
 謎賭けか何かか。
 そのヒントを尋ねると、ザグは頭を指差してこう言った。

「想像力を働かせるぞなもし」

 想像力ねぇ……空に浮かぶ鷹……

「もしかして、飛んでる鷹を目で追うと習得が早くなるとか?」
「惜しい!」

 惜しかったようだ。
 うーん……じゃあ、鷲とか?

「それだと技能名が鷲の目になるぞなもし。ヒント、空に浮かぶのは何であるかなもし」
「空に浮かぶ? 雲?」

 ザグの首は左右に振られる。
 じゃあ、太陽? は、そもそもじっと見れないか。
 空に浮かぶ、空に……月?

「月か!? 鷹みたいな形に見えそうな、三日月を――」
「あ、解った! マジックのがヒントになってるね。正解は星でしょ?」
「シースター、正解ぞなもし。そう、星だ。しかも鷹の形をした星座があるぞなもし」

 鷹?
 鷹座とかあったっけ? あるのは確か鷲座だろ。
 まぁゲームだし、ご都合のいいように鷹座ってことになってるんだろう。
 それを見つけて暫く見ていたら、この技能が習得できるらしい。

「星ならじっと見るのも楽だな」
「そうだね。飛んでる鷹は結構なスピードで移動してしまうけど、星ならゆっくりだし」

 といっても、リアルより早いスピードで一日が終わるから、普通に考えるよりは早いだろうけど。
 この方法でザグは『鷹の目』を十五分ほどで習得したらしい。

「まぁ視力が良くなる技能だからして、遠距離職でもなければ効果は薄いぞなもし」
「でもレアモンスターやネームドモンスターを探すときには役に立つんだよね。だから廃ギルドの人なんかは躍起になってメンバーに習得させてるみたい」
「ギルドって、実装されてたっけ?」

 二人は揃って首を振る。
 そもそも『ギルド』というのはこのゲームでは、冒険者ギルドを指しているので別の名称になるだろうと。
 たぶん『クラン』とか、『チーム』かな。

「他ゲーからのギルド繋がりで移住してる連中も多いからね」
「そういう輩は最初から群れてプレイしているぞなもし。身内同士で隠し技能を探し、情報を共有、外部には漏らさず優位に立ちたいのであるぞなもし」
「まぁ見つけた技能を他人に教えないってのは、俺もそうだしな」
「うんうん。ボクは教えて貰ったけど」
「儂も教えたぞなもし。だがそれは恩義があるからでして、見ず知らずの者にほいほいとは教えたりしないぞなもし」
「あっはっは。サンキュー。じゃあ俺からもお礼だ」

 引越し先の村で、発見技能を習得できるというのを二人に教えた。
 生産者なら、あの技能は嬉しいだろう。
 案の定、二人は大喜びしてくれた。

「もう少しレベルが上がったら行ってみるよ」
「儂も2、3上げてからにするぞなもし。今はファクトで料理技能の最終講座を受けねばならぬからなもし」
「料理講座?」

 頷いたザグは、料理技能も面倒くさい習得条件があると話す。
 コールの町で料理教室に通い、いくつかテストをクリアしたら最後にファクトでの最終講座を受けて――

「おそらく最後はまた試験があるぞなもし」
「ドワーフが料理教室か……」
「なんだかゾっとするね」
「まったくだぜ」

 真っ白なふりふりエプロンを付けたドワーフ・ザグが、おたまとフライパンを持って振り向くシーンを想像してしまう。
 吐きそうだ。
 気晴らしに形状変化を使って遊んでみる。
 早くピコハンを完成させねば。あとファイアーソード。うん、もっとかっこいいネーミングが欲しい。今度ネットで検索しよう。
 しかし、いくら頑張ってもピコハンは完成しない。
 それどころか、毬栗ハンマーの、毬栗が大きくなっていくだけだ。
 現在、野球のボールサイズ。

「うーん。なんでハンマーにならないかなぁ、この毬栗」
「毬栗決定ぞなもし?」
「決定っていうか、毬栗だろ、これ?」

 そう言ってサンダーの形状変化、毬栗ハンマーを見せる。

「サイズ的に少し大きいけど、確かに栗の実のイガイガだね」
「イメージが既に決定しているぞなもし。このゲームは想像力が大事であるが、一度自分の中でイメージが固定してしまうと、変更はなかなか難しいぞなもし」
「それってつまり……これは……」
「「毬栗ハンマー」ぞなもし」

 ぐああぁぁぁあっ!?
 お、俺の、俺のトールハンマーがあぁぁっ。

「あ、ファクトの門が見えてきたよ」
「ふむ。遠くがよく見えるというのも、時には不便ぞなもし。よく見えていても、実際はそこに行き着くまで時間がかかって……」
「あはは」

 とほほ。
 こうなったら、モノホンのトールハンマースキルを作ってやる!

 決意を新たに、俺は新エリア最初の町、ファクトへと到着した。





 町に到着すると、ザグは料理教室へと向うという。
 このままパーティーは解散し、ザグがフレンド登録を要求してきた。

「世話になったぞなもし。技能の情報も教えて貰ったし、本当に感謝しているぞなもし。マジック殿は戦闘メインのようでもあるし、よかったら儂の料理を受け取って欲しいもしもし」
「もしが一つ多いぞ。でも料理って、具体的にゲームとどう関係があるんだ?」
「んむ。今は技能持ちがまだ皆無に等しいから出回っておらぬが、料理を食べる事でバフ効果が付与されるぞなもし」
「え、マジかよ」
「マジであるぞなもし。しかもポーションとの併用も可能ぞなもし」
「だから廃ギルドの人達も必死に料理技能を習得しようとしているんだ。ただし、身内だけで使いまわす目的で」
「んむ。儂の場合は一般のプレイヤー向けであり、生産として楽しむ一貫ぞなもし」

 なるほど。
 バフスキルにブーストポーション、そして料理で完全武装か。
 ポーションは今のところ課金でしか存在してないようだが、そのうち料理ぐらいはデフォになるんだろうな。
 ここは料理人の知り合いがいると、何かと金銭面で得をしそうだ。

「安く売ってくれ」
「んむ。まずは毒味役からぞなもし」
「殺す気だな!!」
「あはははは」

 フレンド登録を済ませると、ザグは手を振りながら料理教室を探して歩き出す。
 それを見送った後、シースターと雑貨屋を探して町の中を歩いた。
 案内板を見ると、雑貨屋はこの町に十軒もあった。

「なんでこんな多いんだ」
「港町やコールにも五軒ほどあったよ。まぁ一軒だとプレイヤーが集中して、NPCが対応に追われるからだと思う」

 なるほど。確かに数十人のプレイヤーが押し寄せただけで、店は狭くなるし、NPCも迷惑するだろう。
 だが、無駄にリアリティを出しているのか――

「店ごとに価格が違ってたりするんだ。あっちの店ではこれが安いけど、あれは高いとかね」
「安い物だけを買おうと思ったら、梯子しなきゃならないのか」
「うん。しかも価格って時々変動するんだ。さっきまで安かったのに、一度メニュー閉じて再度開くと高くなってるとか」

 うわぁ、嫌な仕様だなぁ。

 シースターの目的である『分解粉』、そして俺の目的である『合成剤』を求め、一軒の雑貨屋へと向う。
 新エリアで一番大きな町だというファクトにも、もうかなりのプレイヤーが集まっているな。
 道の両端にはござ露店もあれば、荷車を改造したような露店もある。

「あの露店の店主って……プレイヤーだよな?」
「ん? あぁ、そうだね。お金を出せば買えるんだよ、あの屋台」

 高額料金を支払えば店も持てるらしい。
 だが――

「MMOってさ、たいていハウスシステムとかあるじゃん?」
「ハウス……あぁ、以前やってたゲームにもあったな。土地が高すぎて買わなかったけど」
「そうそう。高いんだよ。だからさ、ボクは屋台を諦めて貯金を優先させようと思ってね」
「じゃあござ露店のままなんだ?」
「うん」

 そういいつつ、屋台を羨ましそうに見つめるシースター。
 やがて目的の雑貨屋に入ると、それぞれ探していたアイテムを購入。

「うぅ、合成剤が一個150エンとはなぁ」
「高いね。分解粉も150エンだったよ」

 そんな会話をしていると、店主がシンキングタイムの後にこっそりこう言ってきた。

「この町に合成屋がいるのさ。合成剤もそいつから仕入れているんだがね、120エンで買わされているのさ。奴から他にも分解粉や、ポーション?も仕入れて貰ってるからな、文句も言えんのだ」

 店主の話だと、アイテムは合成屋しか知らないルートで仕入れているらしく、どうしても彼の言い値で買うしか無いと。
 そのうえ、合成屋自身も合成剤を売っているらしく、商店で購入しようとする客が少ないらしい。
 アイテム合成にやってきた客=プレイヤーからは合成費用で毟り取り、商人からは合成剤を売って儲ける。
 都会からやって来たという、いけ好かない奴だ――と話す。

「じゃあマジックは合成屋から買えばいいんじゃないかな?」
「うーん、それが……」

 この合成屋ってのが、トリトンさんが話してた『悪い意味での知り合い』だろうな。
 合成剤だけ買って合成を頼まないとなると怪しまれるだろう。

「ちょっと訳ありで、俺が技能持ちだってことは知られる訳にはいかないんだ」
「そっか。じゃあ……頑張って金策するしかないね」
「おう。手っ取り早く金策できる方法って無いかなぁ」

 その話しを聞いていた店主が、それならばと冒険者ギルドを勧められる。
 まぁそうなるよな。

【セット技能】
『雷属性魔法:LV16』|(1up) / 『神聖魔法:LV12』|(3up)
『格闘術:LV12』|(2up) / 『敏捷向上:LV9』|(2up)
『魔力向上:LV19』|(4up) / 『鷲掴み:LV15』|(1up)
『採取技能:LV1』 / 『乗牛技能:LV1』
『怪力:LV3』 / 『木工技能:LV4』
『空間移動魔法:LV2』 / 『炎雷属性魔法:LV4』|(1up)
『近魔―命、大事に――:LV1』 / 『火属性魔法:LV7』|(3up)
『土属性魔法:LV2』 / 『魔法操作:LV4』|(3up)
『魔力操作:LV1』 / 『発見:LV3』|(new)(2up)
『合成:LV:5』|(new)(4up)


【獲得スキル】
『サンダー:LV9』 / 『ヒール:LV4』|(1up) / 『ライト:LV2』
『テレポート』 / 『サンダーフレア:LV3』|(1up) / 『リターンオブテレポート:LV2』|(1up)
『ファイア:LV5』|(2up) / 『ロック:LV2』 / 『形状変化:LV2』|(new)(1up)
『焔のマント:LV2』|(new)(1up) / 『カッチカチ:LV2』|(new)(1up)

『加工:LV3』|(2up) / 『作成:LV1』
『修繕:LV3』|(2up) / 『手入れ:LV1』

IMP:85

【称号】
『少女の勇者』 / 『綺麗好き』 / 『ピチョンとの約束』
『ヒヨっこ大工』 / 『ナンバーワンホスト』|(new)
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