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252:マジ類とも。

「じゃあパーティーを募集するか」

「ぷぅちゃん、リボン可愛いねぇ」

〔ぶ! ぶぶぶぶぶっ!〕

「痛い痛い痛いぃ」


 難破したゴーストシップに乗り込むべく、朝からセシリアと、そしてシースターの二人と合流。

 夢乃さんは生産で忙しいというので、この三人にプラスして他のメンバーを募集しようという段階だ。

 セシリアはぷぅの胸元の蝶ネクタイが可愛いと手を出し、案の定ぷぅに突かれている。

 しかもぷぅの奴は「当たり前でしょっ」と上から目線で突いているっていうね。


「ペットアバター買ってあげたんだ。なんとなく意外だな」

「買ってやりたくて買ったんじゃない。これはコスライムの罠なんだ」

「えぇっと、なんでコスライム?」


 俺の意思ではない。そういう事にしたいんだ。ほっといてくれ。


 で、募集するべきメンバーは……。


「前衛セシリア。後衛シースター。俺火力。回復が欲しいところだが、特に指定しなくてもいいよな?」

「あー……うん、まぁそうだね。でも本当にぼくが一緒でいいの? スキルだって初期のしか持ってないし、それに弓技能だってまだ低いから……」


 シースターは短剣使いから弓使いにチェンジしてるから、技能レベルが低いのは仕方ない。

 たぶん武器系技能って、攻撃力かダメージの底上げ効果があるんだろうな。


「気にするなよ。効率重視って訳じゃないし……募集コメントに非効率で楽しさ重視って書いておくか」


 港町クロイスの冒険者ギルド前。

 最初の頃に比べるとさすがに人は少ないが、それでも過疎ってるとは程遠いぐらいに賑わっている。

 町から町への転送装置もあるって事で、どこを拠点にしてもあんまり変わらないんだろう。

 だったら混雑してるより、少しでも人の少ない町のほうが歩きやすいし、ゆっくりも出来る。

 まぁ、実装されている大きな町が少ないっていう点では、まだどこも人で溢れてるけどな。


 パーティー募集掲示板に一度手を付き、可視化ウィンドウに募集項目を書きつらめていく。

 えぇっと、募集人数三人っと。こっちの現在の構成が前衛、後衛弓、火力……ぜ、前衛火力にしておくか。魔法使いと書くと、後衛火力だと勘違いされるだろうし。

 情報は正しく入力しないとな。

 あとは効率よりも楽しさ重視――あ、あとゴーストシップトライは初めてだってのも書いておこう。

 出来れば何周かしたいです――っと。


 お、募集記事内でメッセージチャットが出来るようになったのか。知らないうちに改善されてんだな。

 とか思ってると早速書き込みが表示される。


【筋肉あんまん:筋肉はいかがですか?】


 筋肉……どこかで見た覚えがあるな。しかも筋肉じゃなくって、どちらかというと耐久力じゃなかったか?


【筋肉あんまん:前衛はもう必要なさげ?】


 おっと、早く返事しなきゃな。


【彗星マジック:いや、今いる前衛はAGIだし前衛火力にもなるから問題ないよ】


 問題ないはずだ。

 どうやらシースターが掲示板メッセージチャットの事を教えたらしく、セシリアも会話内容を見ているようだ。

 こちらを見て大きく頷いている。

 もしかしてタンカーよりアタッカーの方がやりたかったとか?


 掲示板を利用してそのままパーティー申請も出せるシステムになっているので、あんまんを誘って……お、またメッセージ入ったぞ。

 なになに? 退魔師?

 そんな職業は……いや、プレイすたいるで自称職業だからなんにでもなれるか。

 ってことは聖属性の攻撃魔法を得意とするタイプか?

 ゴーストシップなら最大火力職になれるな。当然ヒール持ちだろうし。

 よしよし、誘おう。


 とんとん拍子に六人目もゲッチュ。最後は俺と同じ魔法使いだった。

 人ごみを裂けて集合する事にした俺たちは、まず簡単な自己紹介から行った。


「俺は彗星マジック。ちょっと事情で遠距離攻撃が出来ない魔法使いです」

「「知ってます」」


 ん?

 何故全員ではもってんだ。

 あんまんはまだしも、他二人は初対面なんだけどな。


 で、驚いたのは筋肉あんまんの姿。


「あんまん氏、どうしたんだ? この前見た時はふんどしだったじゃないか!」

「合成装備でまっ裸になるから仕方なくふんどしだったんっすわ。持ってるアバターがあれしかなかったもんで」

「それもアバターですよね? ガチャ産の、結構確率低かったような」


 とシースターが言うと、あんまんは嬉しそうに頷いた。


「千五百円分回して、割とあっさり出てくれたんですわ」


 千五百円……千五百円で「あっさり」と言えるのか。

 俺からすれば高い買い物だと思うんだけどな。


 そんなあんまんの今の格好は、全身フルアーマー。

 アニメやRPGゲームに出て来そうな、正真正銘の鎧だ。普通にカッコイイんっすけど。

 その鎧を見てトキメク女が一人。

 ぼそりと「勇者みたい」と呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。


 自己紹介は続き、シースターが生産メインだと遠慮がちに話したが誰も特に反応もせず、当たり前な感じで受け入れられていた。

 初めてパーティーを組む自称退魔師の女性は、なんとも目線に困る人だ。

 セシリアと違い、出るとこは出て……いや、凄く出ている。


「紅茶よ。でも紅茶、飲まないんだけどね」


 どういうセンスでその名前にしたのか……気になる。特にそのぽろんぽろんしたコスライムではなく、スライムな……。


「んふふ。どうせアバターなんだし、いくらでも見ていいから♪」

「「え」」


 俺とシースター、あんまんがぎょっとなった。

 同時にお互い顔を見合わせ「お前も見ていたのかっ」と目で訴える。

 そして隣の方でセシリアがぽつりと「いいなぁ」と呟いたのを、やっぱり俺は聞き逃さなかった。

 やっぱ女でも大きいほうがいいと思っているのか。

 うん。大きいのは悪い事じゃないもんな。うん。


「まったく。スケベばっかりねぇ。アタシはめふぃすと。本当は英語かカタカナで名前を取りたかったんだけど、このゲーム、英語はダメだって言うし、カタカナは既に取られちゃってたし。それで平仮名にしたのよん」


 え……。

 なに、このドワーフ。

 なんか喋り口調が……。


「アタシの得意は炎の魔法よん。他は土と風が使えるわ。本当は光属性も欲しいんだけど、技能を教えてくれるのがエルフなのよね。あんのくっそエルフ野郎ときたら、ドワーフは村に入れさせないだのぬかしやがって――あら、お下品だったわね」


 いや、最後の方のアレが素なんだろ?

 寧ろオカマプレイだよな。そうだよな? そうと言ってくれ。


「んふふ。噂の王子さまってのがどんなものかと思ったけど、ほんと、美味しそうねぇ」


 ガクブル。

 お、王子さまって俺の事じゃないよな?

 おいシースター。同情するような目で俺を見んなっ。






「そんなの当たり前じゃなぁ〜い。誰もアバター通りの容姿だなんて、思ってないわよぉ」

「は、はは。そうっすよね」

「別にイケメンくんじゃなくったって、お店の中なら平等にサービスするわよぉ」

「あぁ……俺、未成年ですから」

「あら。そうなの? 残念」


 めふぃすとさん。本物だった……。

 ドワーフで魔法使いってだけでも、かなり異質な感じがするのに、まさかオカマさんだったとは。

 とはいえ、このオカマさん。案外話してみると面白い。

 というかいろいろと親切に説明してくれる。


「あら。じゃあ幽霊船に乗った事あるのはアタシだけなのね。まぁ幽霊船ってだけあって、アンデットしか居ないわよ。紅茶さん大活躍ね」


 三層構造になっている幽霊船だが、最下層はボス部屋とそれに続くための廊下しかないという話だ。

 一層、二層にはそれぞれ中ボスが居て、そいつを倒さなければ次の層に降りれない仕組みになっている。


「進行方法は二つ。一つは雑魚を全て殲滅しながら進む方法。もう一つはトレインして、中ボス部屋前でタゲ切りしてボスだけ相手にする方法よ。あ、カットしないでまとめて範囲で倒すっていう手もあるわね。カットポジションも覚えてるけど、失敗するリスクもあるわ」


 トレイン……モンスターを倒さず、わざと後ろから追いかけさせる方法だな。

 これと使ったMPKってのもあるが、ダンジョン攻略ではMPKの意味ではなく、雑魚を追従させて走り抜ける行為の事を言う――だったよな。

 これが出来るのは防御に自信のある奴だけだが……。


「情報としては知ってるっすわ。けど初なんで上手くタゲ切り出来るかどうか」

「あのぉ、タゲ切りというのは何?」

「あら、セシリアちゃんは知らないのね。じゃあ教えてあげるわ。タゲ切りって言うのはね――」


 トレインして後ろからぞろぞろやってきたモンスターを、特定の行為を行う事で元の初期位置に戻らせる事。

 こういうダンジョンのモンスターは一定の場所を巡回しているか、もしくはじっとしているかのどちらかだったりする。

 が、索敵範囲にプレイヤーが近づくとヘイトが発生し、ダンジョン内なら階層を移動でもしない限りどこまでも追いかけてくる。

 だが特定の行為――たいていはどこかの場所に立ったりする事なんだが――をすることで、モンスターがヘイトをリセットしてしまう。すると、モンスターは自分が元居た場所に戻ってしまうのだ。

 これで戦闘をせず先に進める……という訳なんだが。

 恐ろしいのはこのタゲ切りを失敗した時だ。

 大量のモンスターをかき集めたうえ、戦闘までしなきゃならなくなる。

 更にこの時、紙装甲の仲間にヘイトが移ったりすることもある。

 地獄絵図になるんだよ。そりゃあもう……。


 というのを動画でよく見たな。


「……なんだか難しそう」

「そうね。最初の一回はこまめに殲滅しながら、ゆっくり行きましょうよ。それに、効率を求めるんじゃないでしょ? トレインなんて必死過ぎて、私はあんまり好きじゃないわ」

「ぼくも賛成。トレイン狩りだとゆっくりお喋りも出来ないし」

「じゃあ、各個撃破で」


 俺がそう作戦を告げると、全員が頷いた。

 

濃いキャラがまた出ました。

だって濃いキャラが好きなんだもん仕方ないね。

そもそもが作者のMMOプレイスタイルからして「ホモくさいネナベ逆毛キャラ」

「イケメンアピールしまくりネナベエロフ(エルフ)」だったし。

仕方ないね☆ミ

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