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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。  作者: 夢・風魔
バージョン1.02(予定)
197/268

197:マジ、先住民の英雄になる。

 サンダー・ビー。雷属性って事で、ノームを召喚して二人でボコる事にした。

 すると呆気なく倒せるように。


「よし、暫くここで風属性を鍛えるか」

〔の!〕

「ぷぅ、お前も適当に応援しててくれ。結構数が居るから、なるべく光速殲滅してないとヤバいかもしれん」

〔ぷぷぅ!〕


 そうこうする間にもサンダー・ビーがブブブブ飛んで来る。他にもドリームバタフライという蝶のモンスターが優雅にやってきた。


〔ピュルルルル〕

「あ? なんかピンク色の粉が降ってきたぞ」

〔のっ……zzz〕

「おい、ノームさんや!?」


 ピンクの粉を浴びたノームが、寝た!?

 まさかドリームって、夢の事か? じゃあ、スリープの魔法かよっ。

 スリープといえば、コンシューマーゲームでもあるが、眠っている奴を殴れば――拳骨でノームの頭頂部をゴスってみる。


〔ののぉ!?〕

「そうか、痛いか。目が覚めてよかったな」

〔の?〕


 状況が把握できていないノームを他所に、今度は蝶に拳を向ける。

 手を開いて――ストローのように伸ばした口を右手で鷲掴みし――ゼロ距離からのぉ、


「『エアカッター!』」

〔ビュルルルルッ〕

「ついでに『ロック!』」


 ふわりと浮かんだソフトボール大の岩を左手で掴み、蝶の顔面をぶん殴る。

 うん。『エアカッター』に比べると、ダメージは少し劣るな。

 が、次のノームの一撃で蝶はご臨終。いやぁ、楽勝だね!

 ぷぅのサンバ効果も乗って、二つの魔法をほぼ休み無く連発できる。ただしMPの消費が半端無い。

 ノームに頑張ってもらっている間に座って回復に努め、全快すればまた派手に戦う。

 INTが高いお陰でMPはわりとすぐ回復するから、回転自体は早い。でもやっぱMP回復スキルが欲しいな。


 暫くここで戦闘しまくっていたら、いつの間にか『風属性魔法』の技能はレベル6になっていた。『エアカッター』もレベル5。一確はまだ無理だが、順調に上がっていってるぞ。

 よし、どうせなら風の範囲スキルを作成しよう!


 花畑から少し移動し、モンスターの少ない場所でシステム画面を開く。その間、ノームが俺を守ってくれているので安心だ。


 前提技能はもちろん『風属性魔法』。

 範囲は……中程度にしてみるか。えぇっと――離れた位置のモンスターを狙う、だと絶対当てられない。自信がある。

 地面指定……至近距離で敵と戦っているんだ。正直、離れた場所を意識してみて、範囲を指定するとか面倒くさそうで嫌だ。

 だから、俺中心に竜巻発生でいいんじゃね!

『焔のマント』の風バージョンだっ。

 その名も――


「えぇっと……工具でかっこよかったのは……『ディスク・グラインダー!』 おぉ、これいいじゃんっ」


 ディスク――丸い。

 グラインダー――削る?

 渦を巻く竜巻が、風の力で敵を削っていくっ。


 ……。

 想像したらかなりグロかった……。






「『暴風竜! ディスク・グラインダーッ』」


 文字数増やせというシステムの文句によって、漢字を追加して超カッコいいスキル名になった。

 俺を中心に、天に向って渦巻く風。そんな竜巻に突っ込んでくる虫どもが、次から次へと吹っ飛んでいく。

 竜巻は風の壁。突進すれば風属性ダメージを食らい、ついでにノックバックする。といっても、飛んでる奴等なので、ノックバックではなく純粋に吹っ飛んでいくだけだ。

 そしてモンスターは馬鹿である。

 ダメージを食らって吹っ飛ばされても、また竜巻に向って突進。竜巻の持続時間は十秒足らずだが、少なくとも二回、吹っ飛ばされてからの立ち直りの早い奴は三回、ダメージを食らう。

 スキルレベルが1なので三回攻撃でも倒しきれないが、この時点で瀕死だ。鷲掴みダメージでも止めを刺せる。

 これで大群に襲われてもへっちゃらだぜ!


 ただし――

 消費MP250

 CT50


 ぷぅのサンバと武器性能でCTは十三秒まで縮まるが、MPがちょっときつい。

 面白がってCT毎に使ってたら、数分でMP枯渇したぜフオオォォォォ!


〔ブブブブブブブブッ〕

〔ビュルルルルンッ〕

「いや、待って。痛い、痛いからぁっ」


 MPの無くなった魔法使いは、ただの人です。虐めないでください。

 とかボケてる場合じゃない。急いでポーションを――

 インベントリからポーションを取り出そうと、左腕の時計に視線を落としたとき――


〔ブッ〕

〔ビュルッ〕


 ザシュザシュっという音が聞こえ、地面にバタバタと昆虫どもが落ちてきた。

 何事!?

 面を上げた俺の視界に、鉤爪状の武器を装備した――


「ディオ!?」


 が立っていた。


「大丈夫か、マジック? ベヒモスを倒したほどの男が、こんな雑魚にやられるなんてな」

「い、いや、あれは――」


 白い歯を見せ、爽やかに笑うディオ。

 ふぅ、助かったぜ。

 しかしディオの奴、ベヒモスを倒したと思い込んでるようだな。

 あれは単に召喚時間が限界に達したタイミングだったわけで、倒したわけじゃ――


「マジック!」

「は、はい?」


 説明しようと口を開きかけたとき、ディオが俺の両手をガシっと握った。その顔は羨望の眼差しとでもいうんでしょうかね?


「マジック、お前は英雄だ!」

「はい?」

「お前は俺たちの村の英雄だ。あの時、お前が大賢者を倒してくれなかったら、今頃きっと……」


 ……俺、いつのまに大賢者を倒した事になってんだ?

 何度もディオは、英雄だ、命の恩人だと言っては腕をぶんぶん振り回す。

 こいつ……STR高いだろっ! 地味に痛いぞっ。


「マジック。今度村に来てくれ。お前にお礼を言いたいという仲間が大勢いるんだ」

「大勢って、開拓村に何人来てたんだよ。っていうか、襲撃計画にあったのか?」

「十人ほどで襲撃した。計画には無かったが、どうしても食い物が必要だったんだ……」


 そう言ってディオは暗い顔をする。よっぽど食い物が無いのか……。

 村長から貰ったペットフード用の食材が少し手元に残ってるな。


「ディオ。これをやるから、あの村にはもう手を出すな」


 インベントリから取り出した野菜や肉を見て、「ナニコレ?」的な目で見るディオ。

 食材と俺を交互に見つめ、そして食材を指差す。


「こ、こんな凄いもの、どうやって手に入れたんだ!?」

「いや、村長に――」

「そうか! マジック、お前はあの村を支配下に治めたんだなっ」


 ……どうしてそうなる?


「やっぱりマジックは……この地で暮らす俺たち先住民の英雄だ!!」


 いろいろ酷い誤解のされようだが……どうすんだこれ?

 


更新&書籍作業も忘れて熟睡しておりました。

さぁ、今から作業するぞぉ。

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