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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。  作者: 夢・風魔
バージョン1.02(予定)
163/268

163:超合金セシリア。

 ネームドを倒し意気揚々と採掘場へと戻って、お楽しみのドロップチェックタイムだ。

 今回は二つのパーティーでタコ殴りしたから、より貢献度の高いほうのパーティーにだけドロップが入っているはず。

 で、結果としては――


「セシリア先生チームにドロップがいったか」

「ヘイトと、水属性付与されてからの弓攻撃の蓄積ダメージだろうな」

「ふふふ、頑張ったぞ」


 自慢気のセシリアからドロップ発表。


「火属性のレイピア! かわいいぃ」


 レイピアが可愛いだと?

 と思ったら、鍔の部分にスライムの彫り物が施されていて、しかもそれが天使の羽付き。

 死して天に昇るスライムってことなのか?

 更に柄の先端にも透明なスライムがくっついていて、女の子好きしそうなデザインではある。

 その等級は――


「アイテム名の文字色はオレンジ色だぞ。これ、一定確率で二回攻撃になると書いてある。もう一つは、与えたダメージの10%ををHPに還元とあるが……どういう意味?」

「ちょ、それかなり性能良くないか?」


 一定確率ってのがどのくらいなのか分からないが、要はダメージ二倍だ。殲滅速度向上じゃん。

 与えたダメージの10%をHPに還元。つまりダメージ100与えた場合、自分のHPが10回復する事になる。

 このレベルだと与ダメ100なんてことはないし、回避前提のAGI職だと被弾回数そのものが少ない。そこに来て回復し続けるってなると、もうポーションいらずじゃね?

 いいなぁ。いいなぁ。俺もHP還元装備欲しいなぁ。


 HP還元の意味を教えると、セシリアはウキウキしながらゾンビを切り刻みに行った。

 攻撃と同時に緑色の回復エフェクトが浮かんでいる。回復量は30ちょっとだが、羨ましい。

 彼女はレイピア以外にもレア素材を三種類ほど貰っていた。


「全部三つずつ拾ってたぞ」

「俺はレジェンドの篭手だ。だからネームドなんか倒したくなかったんだよチクショウ」

「こっちはブーツだ。素材よこせ、素材ぃー!」

「弓使いだってのに、誰が盾なんか欲しがるんだよ馬鹿野郎!」

「なんでスライムから皮鎧が出るんだコンチクショー」

「ズボン……だと? どう見ても人間サイズのズボンアイコンですけど?」


 いや、装備アイコンは種族性別関係なく共通絵柄だろ?

 素材寄こせコールで愚痴るドワーフどもは、次々にセシリアのところに行って、拾った装備を押し付けて行く。それから俺の所にやってきて、手をだし、「素材プリーズ」と合唱する。

 おい、何気にセシリア先生、全身揃ってねえか?

 しかも全員、レジェンドじゃないのか?


「ふ、ふえぇぇっ! ぜ、全身オレンジ色装備になったよぉ」


 ……最強だろ。


「素材が欲しいからって、ドロップ装備を全部セシリアに譲ってしまうとは……一つでも売りに出して、それで素材を買おうっていう気にはならないのか」

「自作品でもないものを店に並べるのは性に合わん」


 それが答えらしい。

 職人魂の熱いドワーフどもだぜ。ふ……。

 でもなぁ、こちとらドロップとは無縁だったんだ。レジェンド素材なんて手元に無ぇよ!

 モンハウ潰しててレアぐらいならあるかもしれないけど……ゾンビから出るレア素材って何だ? 想像したら物凄くグロいのが頭に浮かんだんですけど。

 まぁインベントリを漁ってみるか。


「えぇっと、鉱石系――は技能で見つけたアレと、鉄鉱石。採掘してないのに持ってるって、ドロップか?」

「それはゾンビからドロップした素材だの。レベル35ぐらいまではメイン素材ぞなもし」

「ほほぉ。他には――」


 骨だの動物系モンスターの皮、羽なんてのもある。あとレッドスライムのデラックス表皮か。

 あ?

 スライムの表皮?

 あいつに皮なんてあったのか。いや、そもそも貢献度的にドロップの無いパーティーに居たんだ。スライム産を拾ってるわけがない。


「ドドンたちはスライム産のアイテム、拾ってるか?」

「スライム? いや、持ってないけんど」

「俺、レッドスライムのデラックス表皮っての持ってんだけどさ……なんでだろう?」

「マジックどん、『採取技能』は持っておるかもし?」

「コスライムでは無理なんですけど、スライムになると稀に『採取』で素材を取れる事があるそうなんです」


 へ、へぇ。そういえば技能持ってたな。持ってただけで、未だにレベル1のままだけど。


「これ、何に使えるんだろうな」

「さぁのう。スライムから素材を取れるという情報は、職人ネットワークでも流れておるが、実際に何が取れたかという情報は少ないからのぉ」

「そうか……まぁいいや。これ、お前らにやるよ。二十三個持ってるし、一人二個ずつな。余ったのは俺が貰っていいよな?」


 セシリアはレジェンド装備をしこたま貰ったんだ。素材ぐらい、いいだろ?

 だってこれ――


「オレンジなんだよ」


 ぎょっとしたドワーフ軍団が俺を見て、それから満面の笑みでGJサインを出す。

 シンクロしすぎて怖いです。

 全員に二個ずつ、デラックスな表皮を渡し終えたあとは採掘作業に戻る。

 俺は『発見』技能で銅鉱石を追加し、モンスターハウスを二つ潰してその日の狩りを終えた。


 町に戻ってからは、素材関係をドワーフ軍団に分配。セシリアは今回のレジェンド一式でお腹いっぱいなので、他はいらないと言う。俺はもちろん、何か欲しい。

 上半身装備が一着だけで、しかも合成してるから防御力としては通常より劣ってるんだよな。ここを強化したい。

 ってことで、素材は提供するから、出来ればこっち好みの性能で作って欲しいと頼んでみる。


「性能の付け方は、若干ランダム要素があるぞなもし」

「ランダム?」

「そうっすね。例えば状態異常耐性を付けようと思ったら付けられるっすが、どの状態異常に対する耐性が付くかはランダムっす」

「指定したければ、そういう素材を用意せなあかんのやけど、それこそレジェンド並のドロップ率やねん」


 マジかよ。

 うぅん、まぁとりあえず防御力とHP補正が高ければあとはどうでもいいや。


「まぁそういう事なら見繕ってやるぞなもし。だが素材がちと少なくてなぁ」

「何がいる?」

「防御重視で……布装備じゃろ?」


 こくりと頷く。

 魔法使いなんだ、布だろう。本当ならローブとか法衣なんだろうけど、合成で外見が無くなるからデザインもどうでもいい。


「なら高原におる『シルブレッドキャタピラー』という芋虫から、糸玉を集めてくれんかの? 採取があれば、繭からも糸玉を取る事もできるぞなもし」

「オケ。具体的な位置を教えてくれないか」

「さっきの鉱山から、俺らが上ってきたのとは逆の道を下っていけば、三十分ぐらいでつくぜ」


 なら昼飯の後にでも行くかな。

 ドワーフ軍団とは今後も何かとお付き合いしておきたい。現状の装備高騰を見ると、素材と引き換えに装備を――というのは、なかなかに恵まれている状況だと思う。


「そんな訳で、フレンド登録させてくれよ」

「俺らから絞る取る気満々っすね」

「まぁその分、素材提供はお願いしますよ」

「珍しい物拾ったら、是非見せて欲しいっす。可能ならドロップモンスターの情報とかもお願いするっすよ」

「オケ。ついでに『発見』技能で見つけたアイテムとかの情報も流してやるよ。技能は――」


 開拓村に行けば例のうん○NPCの女の人がいる。村がちょっと発展しちゃってるが、技能を教えてくれるNPCが消えたりはしないだろうし。

 習得条件を教えたら、さっそく行ってみるという。ザグには以前教えていたから、彼は修得済だと話す。


「じゃあ採掘しながら『発見』してればよかったじゃん」

「抜かりはないぞなもし」


 そう言って銅鉱石をチラつかせる。

 汚い!

 流石悪逆非道ドワーフ、汚い!


 フレンド登録後、それぞれ解散して俺は一旦ログアウト。






 昼飯を済ませ、ウッドデッキでウィキを眺めながら素材を調べる。


『結局買うという選択肢は?』

「うん。まぁ……ドロップ数が修正されたからといって、直ぐには値段が下がるわけじゃないってのが分かっただけだった」

『まぁ……お金持ちだと豪語していましたのに』

「ぐ……それ以上に装備の価格が高騰してんだよ」


 午前中の採掘モンハウツアーで、レベルはもう直ぐ32というところまで来てしまっている。

 芋虫狩りしてたら、たぶん今日中に32になってしまうだろう。

 採取でも取れるというし、そっちメインで集めるか。

 他に知りたいのは、ポールやロギンが話してた、性能を指定して付与させる素材だ。

 どうでもいいとは思ったものの、良い性能があればそれに越した事は無い。

 セシリアじゃないが、MP還元とかあると魔法打ち放題だしな。そういうの、無いかなぁ。


 高原に出現するモンスターでそういう素材をドロップするのが居ないか調べてみたが、生息モンスターの情報はあるものの、ドロップ情報に関してはノーマル品しか記入が無い。

 レアとかの情報を書けば、誰もがそのモンスターに群がるだろうし、独占したい奴だと絶対書き込まないか。

 俺も書き込まないしな。

 まぁ贅沢は言うまい。とりあえず糸玉を大量にゲットしてくるか。

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