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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。  作者: 夢・風魔
バーション1.01【始まり】
109/268

109:マジ、聖属性スキルを作る。

「ボスにしてはアッサリ倒れたな」

「禿げのMP減少効果のせいで、特殊攻撃も出来なかったからだろ」

「でも暫くしたら髪の毛が生えてきていたぞ。禿げも持続時間があったのだろう。ね、ウミャー」

《ミャ》

「マジックさん。ボク達、ずっとお友達ですよね」


 ルーン、何故頭頂部を押さえて言う。


 禿げハゲと五月蝿い仲間達だが、皆の言う通り、海賊は意外とアッサリ倒せた。

 まぁ俺とセシリア以外は海賊と同じレベルか、逆に格上ではあったんだが。

 先客が苦戦しまくっていたのは、やっぱりふんどしor水着による鈍足効果を無効化出来なかった事によるものなのだろう。


「あのぉ、ドロップアイテムの中に鍵があったんですけど。何でしょうか、この鍵」


 鍵――とくれば、宝箱の鍵に決まってるじゃないですか!

 そういやあいつ『彷徨えない鍵守の中堅パイレーツ』って名前だったな。

 金の鍵? 銀の鍵? それとも魔法の鍵か!?

 あ、鍵と言えば……


「俺、途中の壁に鍵穴があるのを見たんだけど」


 ノーリスが持つ鍵に皆の視線が集まる。


「どこだ?」

「あぁ、えっと……とりあえず、あれを登って上に戻らなきゃダメなんだが……」


 ロッククライミングを習得していない俺やルークが、どうやって登ったものか……。

 すると鍵を手にしたノーリスが青ざめた顔で震えだした。


「ま、まさか……」

「安心しろ。しっかり捕まってさえいれば落ちないからな」

「僕は嫌だあっぁぁぁぁぁ」


 ノーリスの悲鳴は無情にも洞窟内を木霊していく。

 その悲鳴はルークに、そして最後には俺へと伝染していった。






 何が悲しくてふんどし姿の男におんぶされなきゃいけないのか。


《ぷ、ぷぷっぷぷぅ》

「あぁ、そうだな。今度ロッククライミングを習っておこう」


 インディーさんの背におぶさった状態で崖を登る間、ぷぅに諭される俺。

 習えるものはなんでも習っておくと、いつかきっと役に立つのよ、とぷぅは言う。

 その通りだ。


 ノーリス、ルーン、そして俺の順にインディーさんに背負われ上へと戻って来た。


「待ちくたびれたぜ」

「お前は最初からここに居たからいいよな」

「遠距離職の強みだぜ」

「僕も遠距離……」


 ノーリスも崖撃ちをしたかったのか。しかしおかめを俺一人で相手にするのは、万が一の時の事を考えると予備の戦闘員は必要だったからな。

 まぁ状態異常を食らわなかったので、結果としては不要だったわけだが。

 そのノーリスがゲットした鍵を持って来た道を引き返し、俺がトールハンマーで崩した壁のところまで戻ってきた。


 ばしゃばしゃと再び湖に入って、すぐの壁際で見つけた鍵穴に――お、入った。

 鍵を回せばカチャリという音が鳴る。壁の中で何か歯車的な音が次々に聞こえてくると、今度は――


「ん? なんか足元揺れてるような?」

「あ、あそこ。見てください」


 俺が開けた風穴のすぐ横。

 まるで穴を塞ぐように壁の一部が音を立て、横にスライドするではないか!

 新しく出来た壁の穴から水が漏れ、その水は通路の床にあった小さな穴に吸い込まれていく。

 なるほど、この穴から水が下の階に落ちていたんだな。


 ……ん?

 つまり、海賊はここの扉を開けるための鍵を守っていた、と?

 でも鍵無しで隠し通路を見つけた俺たちって……


「マジック氏の空けた穴のせいで、攻略の順番が逆になったみたいだな」

「あの海賊、実は倒す必要無かったんじゃ……」

「隠し通路の鍵を持っていたってことは、アレは中ボスだったようだ。はっはっは」


 俺のせいですか!?


 無駄な時間を費やした俺たちは、再び隠し通路の中へと入ってずんずん進んで行く。

 下の階を拝める窓から先に進むと、ここにきて思い出したかのようにモンスターが現れた。

 出てきたのは『パイレーツスケルトン』。やっぱり海賊かよ。


 スケルトンってことで『ライト』が良く効く。ついでにヒールでも攻撃が出来た。

 まさにヒール砲だな。


 更にパイレーツゾンビ、パイレーツゴーストなど、なんでもパイレーツ付ければいいと思ってんのかよと突っ込みたくなるラインナップが登場してくる。

 ファイア、ライト、ヒールが有効打ではあるが、聖属性の範囲魔法とかも欲しいところだな。

 たぶんダンジョンボスもアンデッド系だろう。

 ならここは一つ、聖属性の攻撃魔法でも作っておくか。


 通路はうねってはいるが一本道で迷う事は無い。

 どう見てもラスボス部屋だよな、と思わずにはいられない広い空間が先に見える場所で一度休憩を挟む。

 HPとMPを自然回復させ、装備の準備を整えるためだ。

 

 いやぁ、チュンチュン効果のお陰で自然回復が早くて助かるぜ。

 MPは元々の自然回復量が多いんで、ちょっと止まってればすぐ全快していたが、HPはそうもいかなかったからなぁ。

 ヒールを使うのもいいが、どうせMP回復で時間の掛かるセシリアやインディーさんがいるんだ。俺もHPは自然任せにしよう。

 といっても、MP回復速度も早くなってるから、INT1でもそんなに長くは掛からないだろう。


「ってことで、急いでスキルを作らないとな」

「あれ? 何か作るんですか?」


 興味津々といった様子でノーリスが寄って来る。こいつのHPとMPは既に全快だ。

 俺と違って前衛で戦う訳じゃないから、後ろから襲われない限りほぼ無傷である。羨ましい。


「ここのボスがアンデッドの可能性大だからな。聖属性の攻撃魔法を作ろうと思って」

「あぁ、なるほどぉ」

「ボクがマジックさんに聖属性付与したら、パワーアップしますかね?」


 プチINT型でもある殴りスタイルのルーンも全快組か。

 っていうか、何で俺に聖属性付与するんだよ。別に殴る訳でも無いのに……いや。鷲掴みに影響するのか、あれって?

 

 聖属性の鷲掴み……シャイニング・フィンガーか!?

 いいなそれ。スキル名にしよう。


 という訳で――


 天高く舞い上がり、聖なる光を掌に集束させ輝きを放ち、

 眼下の敵半径五メートル範囲内の敵に持続性聖属性ダメージを与える。

 着地後、集束させた聖なる光を直接敵に叩き込みフィニッシュブロウ。


 持続性ダメージの持続時間は、ジャンプした距離に比例する。

 範囲ダメージは、術者の直下から離れるほど低くなる。

 フィニッシュブロウのダメージ量は、集束に使われた時間=滞空時間が長いほど高くなる。


 消費MP:100

 CT:60

 消費IMP50


 最後に、スキル名が短すぎると出たので追加の単語を加え――

『シャイニングフォース・フィンガー』となった。


 なかなか面白そうなスキルが出来たぞ。

 高くジャンプして拳を光らせたらかっこいいだろうなぁと思ったんだが、まさか自動補正で滞空時間云々になるとはな。

 頑張って跳ぶぞぉ!


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