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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋人は宇宙人

作者: 武藤ハル

短編です。さくっと読めると思います。




 恋人の日課は脳力トレーニング。趣味は小難しい専門書を読んだり、お気に入りのショップを巡ること。

 常に好奇心旺盛で、西に目当ての服を見つければその日のうちに買いに走り、東に美味しいと評判の店を聞きつければ学校を休んで(または早退して)まで食べに行く。しかも毎回俺を巻き込んで。

 それでいて学校の成績は学年トップ3に入る。見た目は黒ぶちメガネにきっちり着込んだ制服でいわゆるガリ勉タイプに見えるが、むしろいつ勉強しているんだろうと思えるほど自由だ。周りはみんな「宇宙人エイリアン」と呼ぶ。誰も彼の思考を読めないからだ。

 なぜそんな奴を好きになったのか。正直自分でもよく分らないのだが、彼はいつもまっすぐ人の目を見る。厚いレンズ越しの瞳が茶色で綺麗だと思った。強い瞳が俺を捕らえたのは確かだった。

 そして好奇心の塊は同じ男に告られてもあまり動じず、俺の本気を知るとあっさり付き合うこととなった。

 付き合いだすと彼は意外と強引で、自分の信念をしっかり持っていた。知識も幅広く、特に雑学に関してはなんで知ってるんだろうということまで知っていた。

 しかし恋愛に関しては幼稚園児並に疎かった。付き合いだせばそれなりに関係も進ませたいし、十代の性欲なんて人生のうちで一番強いんじゃないかと思う。毎日だってしたいと思うのに、時々思い出したようにキスをするくらいにとどまっている。当然ながら限界はとっくに超えていた。

 今日も放課後の教室で脳トレゲームを真剣にやっている相手の向かいでおとなしく待っている犬のような俺。

 長い睫にスッと伸びた鼻筋。艶のある黒髪や柔らかい唇を見ているだけでムラムラしてしまう。サラサラの髪に触れてキスしていいかとお伺いを立ててみたが、「気が散る」と素っ気なく返された。


「……おまえさあ。ほんとに俺のこと好き?」


 ここまでくると疑うぞ。同情で付き合ってほしくない。

 すると不機嫌そうな顔で睨まれた。


「好きじゃなきゃ男と付き合うか」


「そのわりに冷たくねえ?俺たち付き合い始めてどれくらいよ。いい加減キス以上のこともしたいんだけど」


「キス以上?」


「セックス」


 彼は一瞬ぽかんとした表情で俺を見つめたが、すぐに机を乱暴に叩いて声を上げた。


「おまえは僕をダメ人間にする気か!」


「――は?」


 その勢いにびっくりする。彼はわなわなと震えながら宇宙人語をしゃべり始めた。


「脳トレを毎日やってるのは将来ボケないためなんだぞっ。その努力を無にする気か。それとも責任とってくれるのかっ」


「ちょ、待って。意味が分かんない」


「せ、セックスなんてしたら脳みそが溶けてしまうじゃないか。おまえとキスしただけで頭がぼんやりするんだぞ。きっと溶けて何も考えられなくなってしまうんだ。ああ、なんて恐ろしい……っ」


 必死に宇宙人語を理解しようと頭をフル回転させる。そうしてとても都合のいい解釈に行きついた。「それって、俺とキスすると気持ちいいってこと?」

 とたんに彼は顔を真っ赤にした。……やばい、可愛い。可愛すぎて勃ちそう。こんな可愛い宇宙人と付き合えるのは俺だけだよな?


「なあ。ちゃんと責任とるからしよ?もっとお互いのこと知りたくない?」


 顔を覗き込むようにしてねだる。相手の好奇心をくすぐるような台詞をつけ足して。


「知りたい、けど……」


 何か言いたげな唇をキスでそっと塞ぐ。しっとりと柔らかい感触を感じながら、絶対攻略してみせると決めたのだった。

ラブコメのつもりで書きました。

キャラの名前を省略したのはわざとです。わんこ攻と天然受?

楽しんでいただけたら嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 題名に惹かれて‥。さらっと読めたし「宇宙人」の子の可愛らしさがたまりませんでした。
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