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冒険者(女)と主夫  作者: やよい
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秘密の後に



 幸いなことに、大けがをした者はいなかった。

 煙は晴れ、辺りの惨状が露わになる。

 床に落ちた乳鉢や薬瓶、散乱した記録紙と薬草など。それらを広い集めようとしたエリスに触らないで下さい!と研究者たちが独占欲を出すので、クリスと一緒に二階を見に行くことにした。


 ぎぃ、ときしむ階段を上りきると、各部屋のドアが開けっ放しになっていてバタバタと(せわ)しない。

 クリスが大声で叫んだ。


「皆さん無事ですかぁ!無事なら重要な物だけ持ち出して庭に集合してくださ~い。一時間後に城に出発しま~す」

 

 ひょっこりとドアの陰から黒い頭が覗き、誰がやらかしたんだよ!と睨まれた。


「せんせいが希少なドラゴンの実地実験をした結果で~す!諦めて荷物まとめてくださいね~!」

 

 がっくりと黒い頭が項垂れた。


 二階にいた者を確認した結果、皆無事だった。ひとまず良かった。

 その後、クリスは庭に出て勝手知ったる納屋から荷車を出してきた。

 王子様に荷車・・・非常にシュールで似合わない。ここは自分の出番だろう、とエリスは人知れず決心した。


 庭の一角には大きな鳥小屋があって、鶏と小さめの鳥たちが一緒に飼われていた。

 クリスは胸ポケットから紙と小さな鉛筆を出してさらさらと書付け、鳥の足にそれを結んで空に放した。


「城に、この屋敷の修理依頼と八人の研究者たちの当分の寝床を用意してほしいと連絡をだしたんですよ」


 先日、アメリアから教えてもらった伝書鳥のことを思い出した。


「へぇ、ここにも伝書鳥がいるんだね。クリスは鳥師の仕事もできるの?」


「僕が城を離れてあの家に暮らす条件が、伝書鳥を扱えることだったんですよ」


 なるほど。そりゃあ、ご両親もクリスの一人暮らしが心配だよね。三か月に一度は実家に帰るっていう約束してても、鳥だったらすぐに手紙のやりとりできるしね。


 うんうん、と納得したエリスだった。


 屋敷の外から見た惨状は、意外にも来た時に見た様子とあまり変わっていないようだった。

 ゆがんだ玄関ドア、植物に覆われた緑色の壁、ガラス窓・・・にはヒビが入っている。窓枠はもともとゆがんでいたし、これなら被害額はそれほど高額にならないかも。

 まだ自身が支払うと決定したわけでもないのだが、エリスはクリスと一緒に被害状況を確認していった。



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