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1話 異世界にいくまで猶予をください!

異世界ものが書きたくなった。

僕は22歳、学生。大学は休学中でバックパッカーである。


まあ自分探しとか言うと友人に馬鹿にされるのだが、まさにそんなとこだろう。なんだか自分が進もうとしている道が間違っていたのではないかという、漠然とした思い込みみたいなものだろう。正直なんでこんな事をしているのかは自分でもわからない。


大学を休学したのは、授業にまともに出ていなかったせいで単位が足りず留年が確定したからだ。思えばあの頃から将来への不安などが積み重なって、何もやる気が出ていなかったのだ。だからなにか癒しが欲しかった。だから猶予期間を使って現実逃避をしたかったのだ。


今僕はラオスのビエンチャンにいる。


ラオスは日本の貧乏人には最高の国である。物価が安いから宿も飯もなんでも安いのだ。だからのんびり暮らすには持ってこいだ。


後2年ぐらいは居たいのだが、生憎、家の貯金がなくなっているし、これ以上親に迷惑を掛けられない。それで今悩んでいるのだ。今更日本に戻って大学に復帰するのも億劫で、まだ親にも休学している事すら伝えていない。しかも実家は借金まみれで、今すぐ僕は仕事をして家に金を入れなくてはいけないはずなのだ。


はぁ・・。いろんな重圧で押しつぶされそうだ。こんな事やっている場合じゃないのに。


・・・いかんいかん。いつもの癖で悪い事ばかり考えてしまう。そんなこと忘れるためにここに来たんじゃないか。




・・・・お!。


黙々とビエンチャンを散歩していたら、一軒のレンタサイクル屋を見つけた。気晴らしに自転車でも漕いでみるか。


ガチャっ。チリンチリンッ。


「こんにちは!いらっしゃい!お一人かい。」


「あ、そうです。自転車借りたいんですけど。」


「おう!それならいいのあるよ。さっきとれたての!」


ん?とれたてってなんだ?


「あ、じゃあそれでお願いします。」


「まいど!」



よし、自転車も手に入れたし遠くまで行ってみるか。


ギギギッ!


ん?なんだこれ!?ペダルが歪んでいるのか、車体がふらつくぞ。すごく漕ぎにくい。

あそこで借りたのは間違いだったかな。


まあ小さい事は気にするな、それが僕のモットーだからな。ラオスを満喫しよう。


ギコギコ・・・ギコギコ・・・。


・・・・ガタッ!


「あっ!!!!」


背筋が凍った。その瞬間、車体は大きくバランスを崩していて目の前には大きなバスが迫っていた。


「あああああああああああああ!!!」


ブゥーン。キキィィィ!!


やばいと思った瞬間遅かった。目の前は真っ暗になり、僕の人生はここで幕を閉じた。バスにひかれて。







うーん。交通量も少なかったのに僕はなぜ轢かれたのだろう。そういう運命だったのか?それなら仕方ない。


・・・。なぜ僕の肉体は死んだはずなのに僕はモノを考えることができるのだろう。


「おい、聞こえているか?」


「え?誰ですか?」


「わしじゃよ。神じゃよ。これから君が住む世界の。」


「え?僕の生きていた人生はもう終わりましたけど?」


「もう一回生まれ変わるんだよ。転生して。転生したいじゃろ?」


「ん?転生?したいけどそんな事できるんですか?」


「だから転生させてやるといっとるじゃろ!君が暮らしていた世界とは別の世界に!」


「なにっ!?転生したいっ!」


「そう焦るな。これから準備としておまえに能力を与える。この世界で生きていくためのな!」


「能力?そんなものないと生きていけない過酷な世界なんですか?」


「モンスターがいっぱいいるファンタジー世界みたいなもんじゃよ。そのうち慣れる。」


「え!?やったあっ!ファンタジーだって!こういう癒しを求めていたんだよ。」


「そうか。喜んでくれたか。さて君にはどんな能力を与えようか」


「のんびり暮らせる能力が欲しいです!」


「うーん。君を更生させるために転生してやろうと思ったんだけどな。果たして君にとってそれでいいのだろうか?」


「更生?やっぱりそういうふうにみえてたんですか?どうしようもないクズに!」


「そこまでは言ってないけどなー。君はもっと世間に揉まれた方がいいよ。まぁ少しでも日々をやりすごしたいならこれをやるか。」


「えっ?」


ビビビッ!

体に電撃が走るような感覚がした。


「よし!これで準備はできた。後の説明は手紙で送るから今から転生するぞ!」


「えっ?」


バババッ


うっ。頭が痛い。目の前が真っ白になった。


はっ。ここはどこだっ!

ここは・・・


「・・・ビエンチャン!?」


目の前はビエンチャンのような街並みに屋台が並んでいた。

ただ今までと違うのは歩いている人間が見覚えのない人種であることだった。

皆、耳が長くエルフのようだった。


「だ・・・大丈夫ですか?」


後ろから誰かに声を掛けられた。


「え?大丈夫ですけど。」


「あら、よかったです!意識を失っていたようなので声をかけたのですがやっと意識が戻られたのですね。」


「あ、ありがとうございます!」


振り返って見てみるとそこには長い金髪の似合うエルフのような風貌の美少女が僕に話かけてくれていた。


「それにしても、あまり見かけない姿ですが、あなたはどちらの種族ですか?」


・・やはりこの人は人間ではないんだな。


「あ、えっとー。人間界から転生してきたんです。」


「えっ!!本当ですか?この世界では人間は絶滅したと聞いておりますが。」


「ぜ、絶滅!?ていうことは僕はレアキャラ?」


「レアキャラという事になりますね。ふふっ。」


笑ってくれた。すごく可愛い。


「転生してきたばっかりでお疲れでしょうから、今晩は私の家で泊まっていかれますか?」


「ええっ!いいんですか?すみません!ありがとうございます!!優しいお方だっ!!ううっ」


「どうぞお気になさらずに・・・って、泣いているですか?」


「女性の家に泊まるの初めてで・・。うれし泣きです。」


という事で今日はこの娘の家に泊まる事になりました。













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