表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/117

「後鬼ちゃん……しーしーするの。ぃゃぁ」

「後鬼ちゃん……しーしーするの。ぃゃぁ」

そう彼女は涙目で私に訴えるのであった。


「後鬼ちゃん……」

寝る前に少し目を離していたら、すぐにこれだ。見つかった同様か、身体を揺らす前鬼様。口の中では今も尚、ゴロゴロと何かを転がす音が続いている。

「さっき歯を磨きましたよね。どうして金平糖を食べているのですか? 」

未だに口の中で金平糖を転がしていた彼女の口が、ふと何かを思い出したかのように開いた。

「甘いものって……眠くならない? 」

なんとも言えない言い訳に呆れた私は、彼女に歯を磨くように言う。ちょうど私が言い終わる前に、前鬼様の口はガリッと音を立てる。

「しーしーするの、嫌っ! 」

しーしー。何の事か……と少し考える。歯磨きに使う粉に含まれている薄荷のことだろう。私は全然気にしていなかったが、子供舌の彼女には気になるのであろう。

「はいはい。歯を磨きに行きましょうね~」

促すように背中を押す。しぶしぶと歩き始める前鬼様。

「しゃがんで」

「はい? 」

呟くようにしゃがむ事を指示してきた彼女に、戸惑いながらもちょうど頭が同じ高さになるよう膝立ちになる。依然、私にはうなじしか見せない前鬼様に声をかけようとする。ちょうどその時だ。

「えぃ! 」

突如振り向き、私の目の前に指で摘んだ金平糖を見せたかと思えば、そのまま私の口の中に入れてくる。細い指でぐいぐいと押し込まれ、すっと口の中に入る。甘い香りがいっぱいに広がる。

「これで同罪だね! 」

私の唇から指を引き抜いた前鬼様が、意地悪な顔で嬉しそうに言ってくる。悪戯好きの彼女の本領。当然、愛らしい顔だ。

ごろごろと金平糖を転がす私……ふと気付いたことに声を上げる。

「今、手に隠していたやつって……もう一個食べるつもりだったのですかっ!? 」

急に叫んだためか、びくっっとする前鬼様。逃げ始めたのを私は見逃さない。肩を掴み羽交い締めにする。

「しーしー、いやぁ~」

今度は私が、嫌がる彼女の口で遊ぶのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ