「前鬼様ぁ~、また買いましたね」
「前鬼様ぁ~、また買いましたね」
寝起きの私が目を覚ますと、怒った顔の後鬼ちゃん。
「な、何のこと?」
と白々しく返す。高級なお菓子は隠しているのでばれるわけがない。
それよりも……
「で、これはどういうこと?」
足は胡坐のまま、足首が結ばれている。両手も手首で交差するように結ばれている。
「今から、探しますので。途中で隠されても困りますので」
「えー」
ぶんぶんと手や足を動かして抗議するが解けない。
足だけでも解こうと結び目を引っ張るが、両手首が結ばれているため、思うように引っ張れない。
無理だったので尺取虫のように移動し、後鬼ちゃんの足にすり寄る。
「もう、探せないじゃないですか~」
「探さなくてもいいもん!」
頬ですりすりと訴えていたら、うつ伏せで持ちあげられた。
そのまま、毛布を積みに積み上げた上に下される。
「あっ」
ずぶずぶと身体が沈んでいく。もふもふの、毛布に。
胡坐なので毛布の繊維がふとももに伝わる。
沈んだ身体は思うように動かず、何より……気持ち良すぎて動けない。
逃げようにもがいても、より一層毛布のもふもふを感じるだけだ。
これは策士だと後鬼ちゃんを睨むより、この心地よい空間を楽しむことしか考えられない。
そうこうしているうちに後鬼ちゃんが私の戸棚をいろいろと探している。
早く止めないと……まぁばれないか。という油断。
「へっ」
ぼすん、目の前に飛んできて、毛布に沈んだ物体に目をやる。
高級お菓子を隠した、二重底……その蓋だ。
さーっ血の気が引いていく。
「あー、これ珍しいやつですね」
その声に後鬼ちゃんの方を見ようと目を移すと、彼女はいない。
突如背後に気配を感じる。ずぶずぶと沈められる。
「ぅぅぅ」
埋もれた顔。何とか顔を持ちあげる。
「あまり買いすぎないって約束しましたよね」
「あんまり買ってないもんっ!」
「反省してないですね」
馬乗りになった後鬼ちゃんに、しばらく弄ばれた。




