「後鬼ちゃん、怖いの?」
「後鬼ちゃん、怖いの?」
滅多に無い弱点を見つけたとにやにやしている前鬼様。
「そうですよ、悪いですか?」
私はすくむ脚に力を入れて見栄を張る。
恥ずかしながら、私は高い所がとても苦手だ。
大きな吊橋。ちょっとした旅行のついでに有名な吊橋を渡っている。
前鬼様が行くと言い出したのは、そこのお菓子も有名だからだ。
高いのが苦手だとばれないように、橋は見るだけでいいですよね、と私。
「渡りたいわけじゃないし……」と言う前鬼様に安心した私だったが……
橋を渡らないと店が無いと知った途端、渡ると聞かないのだ。
「おててぇ~繋いであげようか?」
お店のことより、私を弄ることに興味津々の前鬼様。
一人で行かせるのも不安だが、渡るのも怖い。
かと言ってお菓子関係で駄々をこね始めた前鬼様は厄介だ。
一緒に寝てあげるだの、ちゃんと手を繋ぐからだの、どんどん譲歩する彼女。
仕方なく渡り始めた私。だが前鬼様が長い吊橋に飽きたのはすぐだった。
怖がる私に調子に乗った前鬼様が橋を揺らすように歩く。
「わざと…ですよね?」
「あ、ばれた?」
過敏になっているとは言え、悪戯好きの彼女なら当然わざとだ。
戻るにも戻れず、進むにも進めず。彼女の手をしっかり握る。
「えいえい~」
堂々と揺らし始めた前鬼様。先程とうって変わって、大きく揺れる。
「揺らさないでっ」
冷静さを失った私は大声で叫んでしまう。
「ごめん……」
私の声にびっくりしたのか大人しくなる。
「ちゃんと、握ってるからね」
「お願いします」
まだ吊橋の半分ぐらいだ。しっかりと歩いて行く私。
せめて下を見ないようにと彼女だけを見つめる。
なんとか渡りきった。その安心感からぐったりする。
前鬼様に身体を預ける様に……と言ってもあまり身体を預けると彼女が潰れてしまう。
お菓子を食べれて満足な顔の前鬼様を見つめながら、帰りの事を考えるのであった。




