「前鬼様ぁ~」
「前鬼様ぁ~」
呼ばれた声に目を覚ますと、寝惚け眼の後鬼ちゃんがいる。
あまり頭の回っていない寝起きでは、特に擦り寄ってくる。
べったりと布団の中で近づいてくる。
そのまま抱かれ、頭を撫でられる……が反抗はしない。
というのも、この状態の後鬼ちゃんに何を言っても無意味なのである。
止めて!と言っても、ただひたすら「ぃゃぃゃ」と可愛く駄々をこねるだけだ。
別にからかわれているわけではないので、おとなしくされるがままになる。
私も朝の眠い時に、抱かれたり撫でられたりするのは満更でもない。
撫で返したらどうなるのだろうか。そう思って後鬼ちゃんの頭に手を伸ばす。
さらさらとした髪を弄ぶように撫でてみる。幸せそうな顔だ。私の手も気持ちいい。
撫でていると後鬼ちゃんの目がとろんとしてくる。今にも眠ってしまいそうだ。
反対の手で彼女の首元をくすぐる様に撫でる。急な首元への刺激にびくっとする後鬼ちゃん。
だが気持ちがいいのか直ぐにふにゃ~と声を漏らす。可愛いらしい。
首元だけでは飽き足らず、胸元や肩、鎖骨を擦るように撫でる。
ときたま、くすぐったさか、いやいやと首を振るように仰け反ったり、首で手を挟まれたり……
首元を堪能した私は更に上に上にと撫でていく。ちょうど手の上に顎を載せている感じだ。
指をもぞもぞと動かすと、より一層彼女の目がとろんとしてくる。
「眠いの、後鬼ちゃん?」
返事はなかったが、目で「うん」と合図された。
「じゃあ、まだ寝よっか」
遊んで乱れた布団を片腕で適当に整える。
「おやすみ、後鬼ちゃん」
そう一言言ってから私は彼女の胸元に頭を埋めた。
彼女に抱かれ、二度寝を楽しむのであった。




