「後鬼ちゃん」
「後鬼ちゃん」
後ろから肩をつんつんされ、顔を向ける。頬に前鬼様の指が当たる。
前鬼様の悪戯だ。ここ最近何度もその悪戯を受ける。
流石に何度も引っかかる私も悪いのだが、肩を叩かれると、つい顔を向けてしまう。
「次やったら怒りますって言いましたよね」
「えっ、そうだっけ?ごめんね~」
明らかに反省していない前鬼様。これは仕返ししない限り反省しないだろう……
ふと、こよりが目に入る。鼻に入れるとくしゃみが出るあのこよりだ。
「前鬼様、膝枕しましょうか?」
ちょうどお昼過ぎだし、前鬼様は乗ってくるだろう。
私の手にはこよりがある。そんなこともつゆ知らず、頭を載せてくる前鬼様。
「えっ」
私が少し膝を開いただけで頭が床に落ちる。急なことに前鬼様が声を上げる。
そのまま、ふとももで前鬼様の顔を挟む。ぎゅーっとすれば、顔が固定される。
何やら不穏な状況に焦る前鬼様が、私の手にこよりがあることを見つける。
「い、嫌っ!」
顔は逃げられないので、自由な手でこよりを拒んでくる。
「次したら怒るって…私言いましたよね」
顔を近づけ、耳元で…低めの声で、囁く。
「う、うん」
動かせない顔で頷こうとしたのが、ふともも越しに伝わってくる。
「じゃあ、逃げないでくださいね」
私の声に前鬼様は手をだらんと脱力させ諦めたようだ……
こよりを鼻に入れようと近づける。うまく入らない。
鼻の近くで動き回るこよりがくすぐったいのか、顔が緩む。
「あっ」
ようやく鼻の穴に入ったこよりが、一気に進む。
「!」
すごい刺激が走ったのか、ふとももの中で顔が揺れる。
涙目で前鬼様がこちらを睨んでくるが、気にせずこよりを出し入れする。
もぞもぞ、もぞもぞ。くるくる。もぞもぞ、くるくる。つんつん……
ただ出し入れするだけではなく、捻ったり、捻ったり。突いたり……
「ぁ…」
私のこよりに合わせて、声を漏らす前鬼様。
最小限に抑えようとなんとか堪えている。
「ふひゅっ!」
だが時偶我慢できないのか、変な声を漏らす。
ふとももの中で暴れまわるのが面白い。涙目で堪える顔がとても可愛い。
抜こうとすると油断したので、一気に奥まで突っ込んだ時の反応はとても面白かった。
もぞもぞ、もぞもぞ。くるくる。もぞもぞ、くるくる。つんつん……
反対の鼻も始めようとしたら、止められた。流石に可哀想なので開放する。
自由になった途端、一目散に逃げていく。もう、終わったのいうのに。
拗ねてしまった前鬼様は座布団を使って横になる。
睨んできたが、終わったことを実感したのか逃げはしない。
手を合わせ、座布団の枕と頭の間に挟んでいる。
合わされた手のひらが若干ずれている。そのずれが幻術的だ。
そのまま、うとうとと目を瞑り、前鬼様は眠り始めた。
あまりにも可愛らしかったので、向かい合うように横になる私。
そして、同じように手を合わせて眠るのであった。




