「前鬼様~」
「前鬼様~」
「なぁに?後鬼ちゃん」
「真ん中の占領はやめてください」
「は~い」
炬燵。寒い日はどうしても深く潜ってしまう。
後から入ってきた後鬼ちゃんに注意されてしまった。
二人で炬燵に入る時は、いろんな配置があって面白い。
といっても小さな炬燵には限界があるが……
今は対面で同じ方向に脚を向ける形だ。
肩まで潜っている私は、脚を収めようと丸くなるが、収まりが悪い。
端の方は少し寒いので徐々に中央に寄ってしまう。
気がつくと後鬼ちゃんの脚と当たる。当たる度に牽制が始まる。
無言で炬燵の中の様子を探り合い、自分が暖かいように場所を探す。
また、無言で足と足でつんつんと話し合い、お互いの場所を決め合う。
ここからここまで。もうちょっとこっち。中?外?
左…?やっぱり右で……と脚で話すのはなんだか面白い。
後鬼ちゃんは脚しか入れていないので、私が取りすぎるとぷんぷん怒ってくる。
「あー、また中央に寄ってますね」
精一杯丸くなっていたのに、中央まで出ていたお尻を蹴られた。
蹴られた、と言うより正確には足の指でつんつんと突かれた。
どうしようかと考えていた時、いいことを思いついた。
まず私は両足で後鬼ちゃんの脚を誘導する。中央に。
炬燵越しに後鬼ちゃんが「ほぅ」っと、期待したような顔をする。かわいい。
私はその上に脚を重ねる。文句は……無いようだ。
「まぁ、前鬼様は軽いですし」
後鬼ちゃんも身体を更に埋めてきたが、私の下にうまく入り込んでくる。
これでゆっくり温まれそうだ。
……足を捕まれ、くすぐられたのは別のお話。




