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「後鬼ちゃん、ごめんなさい~!」

「後鬼ちゃん、ごめんなさい~!」

「謝っても一緒なので早く諦めてください~」

謝りながら逃げる前鬼様を追いかける。

前鬼様お得意のお菓子のつまみ食い。つまみ食いした分は運動しないと。

いつもの様にくすぐってあげると提案した所、今日は妙に嫌がる。

というのも余程美味しかったのか、いつもの倍近く摘んでいたのだ。

当絶食べた分だけ、私が前鬼様を弄る時間は増えるので……自業自得だ。

私が気付かない時もあるので、見つけた時は絶対に運動させるようにしている。

廊下を全力疾走で逃げ続ける前鬼様。私は優しいのでこれも運動として数える。

しかもくすぐる場合よりも、走った方が早く終わるようにしている。

ただし、自主的に運動し続けるとも限らないので私が追いかける。

ただ追いかけるだけでは緊張感に欠けるので、私に捕まったら残りはくすぐりだ。

逃げた分、普段より強烈に……だからこそ、逃げる価値は十分あるだろう。

疲れ切って力の入らない身体に全力のくすぐり。どうなるかは想像に容易い。

すぐに捕まえてしまってもいいのだが、嫌がり逃げ回る彼女を捕まえくすぐるのも楽しい。

可能な限り疲れさせようと、ほどほどの速度で追い立て続ける……

「もう、だめぇ……」

随分走り込んだ。普段であればとっくに許す程度。だが、今日は許す訳にはいかない。

「まだ、半分ですかね」

「えっ」

「食べた量もそうですが、あのお菓子はかなり太りやすいので」

もう少しだと思っていたのか、少しばかり諦めの表情になる前鬼様。それと同時に悟る。

今捕まってしまうと、普段すぐ捕まった時と同じ時間くすぐられることとなる。

疲れきった身体で耐えられるはずが無いだろう。逃げ切るしかない。

もう一度、力を振り絞って走り始める前鬼様を、ただただ追いかける。

「あっ」

彼女の足がもつれた。転びそうになりながらなんとか手を使い踏ん張っている。

だが再び走り出そうとした際に完全に身体がよろけてしまっていた。

追いついた私は倒れないように優しく抱きかかえる。

「はぁ…はぁ…」

顔を赤くして、呼吸の荒い彼女の身体は、精一杯走ったことを訴えかけてくる。

ここでくすぐってしまえば、壊してしまいそうな、そんな繊細な身体。

優しく、背中を撫でる。ついでに頭も優しく撫でる。

「頑張った…よ…」

私の腕の中で力なく訴える彼女が可愛らしい。

「はい。だから…」

と続ける。今日はこれで終わったと確信した前鬼様の顔が緩む。

「休憩したら続きですね」

えーっ!と叫ぶ前鬼様であったが最悪の事態を避けられたことは喜んでいた。

今回ばかりは懲りたのか、暫くの間、つまみ食いの量が減っていた。


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