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「後鬼ちゃん、何?」
「後鬼ちゃん、何?」
「補給です~」
座椅子に座った私は、自身の膝の上をぽんぽんと手で叩く。
急な私の申し出に戸惑いながら、前鬼様は「補給ぅ…」と低い声で繰り返す。
「しょうがないなぁ…後鬼ちゃんは」
私の膝の上に座ろうとした前鬼様を、後ろから抱き着く形で引っ張り、受け止める。
いきなりのことにびっくりとした様子ではあったが、おとなしくされるがままになる。
私よりも一回り、二回りも小さい前鬼様の身体を腕の中に収めるのは不思議な気分だ。
すりすりと髪に頬摺りをするとちょっぴりくすぐったい。
昼間だと言うのにあまりの密着に、腕の中で嫌々と少しばかりの抵抗をする。
「頭撫でてくれると思ってたのに!」
顔をこちらに見せ、頬を可愛らしく膨らませてくる。
立ち上がろうとしても、私が腰を引っ張るだけで、逃げることは出来ない。
「しょうがないですね、前鬼様は」
からかう様な言葉。私は前鬼様の頭を優しく撫でてあげる。
頭を撫でられるのに関しては満更でもないようだ。
もっとも、頬擦りで補給することも怠らないが……




