表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/117

「後鬼ちゃんおかえり~」

「後鬼ちゃんおかえり~」

買い出しから帰ると前鬼様が出迎えてくれる。

ふたりで出かけた時は必ず何かを飼い食いする前鬼様。

留守番の時は私のお土産が何かと駆け寄ってくる。

「これです」

さらっと箱を取り出し前鬼様の前に出す。ぱっと彼女は目を見開く。

「えっ、これって…」

半分興奮、半分困惑で言葉が詰まる前鬼様。

「はい、これが噂の洋菓子ですよ」

入手が困難で噂だけが一人歩き。だがその美味しさは折り紙つき。

「ありがとう!」

そう言いながら私の胸元に顔をすりすりと擦り付けてくる。

私もそれに合わす様に屈み、頬を前鬼様に擦り付ける。

……すんすん……何か違和感を感じ、私は鼻を鳴らす。

前鬼様が一瞬目を逸したのを見逃さない。と言っても匂いで分かるのだが。

頬をなすりつけている時、甘ったるいような少し甘酸っぱい匂いが鼻をくすぐった。

「どうして目を逸したのですか?」

少しだけ怒るように問い詰める。

「果物……食べちゃったから……」

「別に少しぐらいなら問題ないですよ」

頬擦りが気持ち良かったので今日の私は少し甘い。

「ほんと!?二つしか食べてないよ!」

「では、大丈夫ですね」

ぱぁっと前記様の表情が緩む。

「念のため、数えますが」

ひぃ、ふぅ、みぃ……数え始めると前鬼様の顔はみるみるうちに青くなっていく。

その時点で分かってはいたが……本当に二つなら許そうと思っていた。倍以上減っていた。

「嘘は駄目ですよ。運動しないといけないですね」

私はわざと前鬼様に見せつけるように、両手をわきわきさせる。

「い、いやっ…」

弱々しく首を横に振る前鬼様。

「じゃあ、私が全部食べてしまいましょうか?」

「だめー!」

半泣きになりながら前鬼様は葛藤している。

食べられないか。惨めにくすぐりを受けるか。

何度も顔を横に振りながら、「いや」を呪文のように繰り返す前鬼様。

しばしの葛藤の後、入手困難なお菓子は前鬼様の腕を万歳させた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ