「前鬼様ぁ~」
「前鬼様ぁ~」
後鬼ちゃんの呼ぶ声に、意識が戻ってくる。
「眠いのですか?」
「うん」
昨日遅くまで起きていたからか、昼下がりだからか。とても眠い。
後鬼ちゃんが膝の上をポンポンと手で叩いている。膝枕だ。
「よいしょっと…」
私は身体を起こし、頭を後鬼ちゃんの膝の上に載せる。
普段より、より一層後鬼ちゃんが近く感じられる。
彼女が近くにいる安心感。そのまま私は目をとじる。
私が目を瞑ると後鬼ちゃんは私の頭を軽く撫でる。
後鬼ちゃんのやさしい指、匂い、そして膝枕。
うとうとして、今にも意識が消えてしまいそうだ。
「!」
ふいに目にくすぐったさを感じる。まつげを撫でられた。
触れるか触れないか、そんなもどかしいくすぐったさについ声を上げてしまう。
それにつられてか、後鬼ちゃんもくすくすと声をあげる。
顔を左右に振って逃れようとするが、膝の上に逃げ場など無い。
「もぅ…くすぐったいよ~」
「ここ、くすぐったいですよね」
言ったところでどうせ辞めるつもりは無いのであろう。意味のないやり取り。
対抗しようにも、どうも眠気が私の気力を削いでしまう。
それでいて、くすぐったさだけは敏感で、目元を何度も震わしてしまう。
まつげをゆっくりと往復するように、小刻みに素早く、そんな指使いに耐えられない。
それでも眠気は私の思考を奪い、されるがままになってしまうのであった。




