「前鬼様、ごめんなさい」
「前鬼様、ごめんなさい」
「無理に喋らなくてもいいから。もっとお水飲む?」
「はい」
横になった後鬼ちゃんに、急須で直接水を飲ませる。
急須越しで私の手に水をちびちびと飲む感覚が伝わる。
目をつぶったままの後鬼ちゃん。その顔はかなり赤い。
先程お風呂から呼ばれる声にお風呂に赴くと、後鬼ちゃんが倒れていた。
今朝から調子が悪そうであったが、お風呂で気分が悪くなったらしい。
今ここで後鬼ちゃんの面倒を見るのは私しかいない。
水を飲ませて…身体を冷やして…でも急に冷やしすぎないように…
不安になる気持ちを後鬼ちゃんへの処置でかき消す。
一目散にまずは水を飲ませようと水を急須に入れてくる。
飲ませながら空いた手で身体を丁寧に拭く。
一通り身体を拭き終えたところで今に至る。
「あつい…です」
「分かった。少し待っててね」
火照った身体を冷やさねば……目についたのはうちわであった。
持ってきたうちわで後鬼ちゃんの身体をまんべんなく扇ぐ。
程よい風に後鬼ちゃんの表情が和らぐ。
時折水を飲ませたり、濡れた布巾で額を冷やしたり。
あまり冷やしすぎると風邪を引いてしまうので程々に。
「ありがとう…ございます。心地いいです」
それは良かった、と私は返す。私も落ち着く。
「眠く…なってきちゃい…ました」
「後鬼ちゃん?」
疲れたのか、心地よいのか、すやすやと寝息を立てていた。
「ちょっと!ここで寝ないで!せめて服を着て!」
起こそうにも起きない後鬼ちゃんに、布団を掛け横で見守るのであった。




