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「後鬼ちゃん、あれ取って!」

「後鬼ちゃん、あれ取って!」

前鬼様は近くの棚にある箱を指差す。

「はい、分かりました」

普段であれば前鬼様は直接立ち上がり取るのだが……

「足、まだ痛いですか?」

「痛みはほとんどないよ」

前鬼様は先日足首を捻った。すぐに冷やしたのだが少し腫れてしまった。

まだ歩かせない方がいいと、私は身の回りの世話をいつも以上にする。

始めは痛みで元気がなかったのだが、今は歩けないことがもどかしいらしい。

当の本人は早く歩きたいらしいが、再び捻っては面倒なのでと言い聞かせる。

渋々、私に世話を任せているが、不満がまったく無いとは言えない。

何よりの不満はお手洗いが不自由であることだ。

用を足す際に、捻った足では踏ん張ると痛むため、私が身体を抱きかかえる。

その間に用を足すのだが、前鬼様は震えるように片手で顔を隠す。

赤面し早く終われと水音に震えながら耐える前鬼様。

小さい頃から世話をしている私からすれば、この行為に一切の背徳感を感じない。

逆の立場となれば、たしかに恥ずかしいと感じるだろうが、仕方ないと諦めるだろう。

前鬼様も仕方ないと諦めているのであろう。水音の解放と共に静寂に包まれる。

「恥ずかしいもんっ!」

前鬼様が弱々しく声を上げる。気にしなくていいのに、と私は呟く。

昔は毎日のように面倒を見ていたのだが、当人は覚えていないらしい。

聞いてみても、「知らないもんっ!」と返される。

数日間、このやり取りは日に何度か行われた。


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