「前鬼様、少し出掛けてきますね」
「前鬼様、少し出掛けてきますね」
「うん」
後鬼ちゃんが一人で出かける。簡単な用事か買い物のどちらかだろう。
後鬼ちゃんを見送り、見えなくなったところで私はニヤリとする。
早る気持ちで廊下を足早に歩く。着いた部屋の戸を開ける。後鬼ちゃんの部屋だ。
「あそこかな?」
大きな戸棚の上に目をつける。当然私の欲しいものは高い所に隠されている筈だ。
辺りを見渡しても踏み台にするものが無いため、私の踏み台を持ってくる。
持ってきた台を棚の前に配置し登る。
「……届かない」
なんとか届くように頑張ってみる。うんとつま先立ちをしてみると、片手だけ届いた。
手探りで棚の上を漁る。ザラザラとした特徴的な手触りの箱がある。
「見ぃ~つけた!」
お気に入りのお菓子はこの箱だ。何度も触っているため手触りだけで分かる。
なんとか片手で箱を取り出そうとするが、うまく踏ん張れず力が入らない。
ぷるぷると震える足が辛い。何度か挑戦したが引っ張り出す事ができなかった。
逆に言えばあと少し踏み台を高くすれば取り出すことができる。
そうと決まれば早く探してこなければ。踏み台から降りようと振り返る。
「後鬼…ちゃん…」
振り返るとニコニコと顔だけ笑っている後鬼ちゃんがいた。胸がきゅっとなる。
「財布を忘れたのですが…お陰で犯行現場を目撃することが出来ました」
多分は私は今、泣きそうな顔になっているに間違いない。
「当然お仕置きは後でしますが…取りましょうか?」
私の頭上を指差す。
結局勝手に部屋に入ったことで怒られるため、お菓子を取ってもらった。




