「後鬼ちゃん、怖い」
「後鬼ちゃん、怖い」
前鬼様と私はしっかりと手を握っている。布団の中で、抱き合うように震え合っていた。
午後から急に天気が崩れ、雨は滝のように降り注いだ。止まぬ雨と強い風、嵐だ。
締め切った雨戸も強い風は笑うように叩き鳴らす。その音に怯えているのだ。
若干軋む屋敷。私も前鬼様も大自然を前にただただ震えるしかできなかった。
どうも音というものは耳を閉じても逃げることができず、身体を強張らせるばかりだ。
前鬼様の前で怖がらないと決めていたが、一度震え出すと止まらなくなった。
それを察してか、前鬼様も私を励ますように手と手を握るのであった。
「また光った!」
前鬼様が叫ぶと同時に一層強く手を握ってくる。
ドーンと雷が、その轟音が鳴り響く。その余韻も相当な大きさだ。
まるで何かのうめき声、その度に私は前鬼様を守るように抱く。
前鬼様の暖かさが伝わって来る。二人の震えが同期する。
私が守らなければ、そう思うことで自身の恐怖を紛らわしている。
締め切っているはずなのに、またどこからか雷の光が漏れてくる。
先ほど外を見た時は暗闇に急に昼間が現れた。私ですらこれほど強い雷は初めてだ。
轟音とともに前鬼様は私の手を強く握り、私はそれに応えるように抱きしめる。
何度も何度も雷の音と風が鳴らす雨戸の音に、私たちの精神は擦り減っていった……
ずいぶん震えていたがついに風と雷が弱くなる。
山場を越えたという安心からか、前鬼様はすぅすぅと寝息を立てていた。
だがまたいつ強くなるか分からない。しっかりと前鬼様を抱きしめる。
まだまだ眠れそうにない。




