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「後鬼ちゃん、遅い~っ!」

「後鬼ちゃん、遅い~っ!」

「あんまり走ると転んじゃいますよ」

今日は散歩。天気も良く風が気持ちいい。

こういう日は、目の前を走る前鬼様の様についついはしゃぎたくなる。

通り慣れたいつもの道から外れ、小川を飛び越えると少し開けた原っぱに出る。

木々に囲まれた、林にぽっかりと穴を空ける原っぱ。ここが私たち二人の秘密の場所だ。

耳を澄ませばちょろちょろと水の音。息を吸えば花々と緑の匂い。そして心地よい日差し。

私はいつもここの木陰で本を読む。今日も何かを追いかけ回る前鬼様を見失わないように。

ここで本を忘れたことに気付き、手持ち無沙汰なので生えてる草で冠を作る。時折花を組み込みながら。

「疲れたよぅ~」

走り疲れたのか前鬼様が膝の上に座ってくる。うなじをなぞる汗を見てついつい舐めてしまう。

「ひゃあっ、もうっ!」

強張らせた身体。ぷっくりと膨らんだ頬。睨んでもどこか幼さを感じさせる目つき。

びっくりしたと言わんばかりに私を睨む。

「はいはい」

作った冠を頭に載せてそのまま頭を撫でる。少し表情が和らいだので次は首周りを撫でてやる。

首周りは気持ちがいいのか、前鬼様はご満悦の表情で私の膝の上で横になる。

そのまま撫でながらすぅすぅと寝息を立て始める。

そのまま可愛らしい寝顔を見ながら、ふと猫じゃらしに目がいく。悪い考えが頭をよぎる。

その猫じゃらしで前鬼様の顔、ひいては鼻をくすぐり始める。

くすぐる度に鼻の頭をひくひくさせる。眉間に僅かながらのしわを作る。

思いっきり鼻の穴に突っ込む。途端に目を覚ました前鬼様がくしゃみをする。

突っ込まれて痛かったのか、鼻を抑え涙目で睨んでくる。

そのあと前鬼様の機嫌が悪かったのは言うまでもない。


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