「後鬼ちゃん眠いの?」
「後鬼ちゃん眠いの?」
「はい」
そう答えると前鬼様は膝を差し出してくる。ぽんぽんと手を叩いている。
私は無言で頭を前鬼様の膝に委ねる。ほのかな温かみを感じる。
「くすぐったい~」
どうやら私の髪がくすぐったい様だ。髪を避けるように手で梳いてくる。
前鬼様の顔をずっと見つめていたい、なのに眩しい……そう考えると目から力が抜ける。
「よしよし~」
前鬼様が頭を撫でてくる。その小さな手が不思議な安心感を与えてくる。
見えなくとも眼の前に感じる。あやされている、そう考えると少し恥ずかしいが、とても心地よい。
「!」
ふいに目にくすぐったさを覚える。まつげを、まぶたをそっと撫でられた。
目元がピクピクするのが分かる。それを見てか、前鬼様がくすっと息を漏らす。
くすぐったさに我慢できなくなってしまい、目を開ける。
「くすぐったい?」
悪戯が成功した時の様な、そんな可愛らしい笑みを浮かべた前鬼様の顔。
見惚れているとそのまま敏感なまつげに触れられる。くすぐったい。何度も目元を痙攣させてしまう。
「今度」
「なぁに?後鬼ちゃん」
「同じことしてあげますので」
その言葉に手が止まる。段々と顔から笑みが消えていく。
その後、怯えた小動物の様な前鬼様にひたすら頭を撫でていただいたので、気持ちよく眠ることができた。




