「前鬼様、寒くないですか?」
「前鬼様、寒くないですか?」
「少しだけ…」
そう返すと後鬼ちゃんは手を握ろうと寄り添ってくる。
その時だった。バチンッ!
「いたっ!」
握ろうと近づけてきた手に静電気が走る。
それにびっくりした私も手を引っ込めてしまう。
「びっくりしましたね。やっぱり空気が乾燥してますからね」
そう言いながらもう一度手を握ってくる。ビリッ!
「いたいっ!」
もう一度、さっきよりは弱いが刺激を感じた。
「二度目…。三度目はないですよね?」
「流石に三度目はないよ」
そう言いながら手を繋いでくる。
「流れた…ね」
どうしても手を引っ込めてしまう。
「もしかして、私のこと嫌いになりました?」
「えっ」
「だって、三度も…そうとしか思えないです」
「いやいや、そんなことないよ」
「じゃあ、私のこと好きなんですね?」
「…うん?」
「きちんと肯定して欲しかったですぅ」
なんだかわからないうちに後鬼ちゃんが一人で泣きそうになってる。
こうなると私も調子が狂うのでなんとかしてみる。
「こうすると大丈夫なんだよ」
そう言いながら私は勢い良く両手で後鬼ちゃんに抱きつく。
何が起きたのか、と涙目の後鬼ちゃんは私を見つめてくる。
「電気が、流れない…」
「まぁ私だからね」
「愛を込めた抱擁ならば大丈夫…ということですか?」
「…そう思うなら、そういうことでいいよ」
その日から後鬼ちゃんは手をつなぐ前に抱きついて来るようになった。




