「後鬼ちゃん」
「後鬼ちゃん」
「何ですか」
「一人で寝たい」
「だめです」
「むぅ」
前鬼様は私の膝枕で拗ねた様に口を尖らせる。
この時を待っていた。前鬼様が寝ちゃいそうなので思い切りちょっかいを出せる。
前鬼様の髪を手櫛ですいてみる。さらさらで水の様な髪、気持ちよさそうな顔に思わずにやけてしまう。
「眠ってもいいよ」
「はう」
寝てしまう所だったと言わんばかりに目を見開く。私はそのまま髪からおでこ、喉元に飛んで顎から頬っぺを触る。物凄く柔らかい。
目を閉じてしまうと私は耳に息を吹き掛ける。
「ひぇ」
身震いをして私の方を睨む。眠る邪魔をするなと睨んだ顔も可愛いなと思う。
「寝たくなかったんじゃ?」
「ふぇ?」
眠そうにしながら考える。意味を理解し拗ねる顔も実に可愛いらしい。
またうつらうつらしたので耳に息を吹き掛ける。それを私が飽きるまで繰り返す。
「もぅやめてぇ」
「ふふ、だめぇ」
「ひーん」
ひーんとか可愛い声を出すからますます弄りたくなる。その後も可愛い声を楽しむ。
「ごめんな…さい」
流石にやり過ぎたかな、本当に眠いのか涙まで流し始めたので寝かせてあげる。
すぅ~という音を立てて寝ている顔を見てそのまま私も寝た。