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「後鬼…ちゃん…」
「後鬼…ちゃん…」
「前鬼様っ、大丈夫ですか?」
「死に、そう…」
そう弱々しく答える前鬼様。
初日の出を近くの山で見ることにした前鬼様。
もう少しで山頂というところで小雨が降り始めた。
雨のせいか足を滑らせた前鬼様は転げ落ちてしまった。
不幸中の幸い、落ちた先は深めの川であり目立った怪我はなかった。
私が川にたどり着いた時には前鬼様は凍えて震えていた。
雨は降るわ、足は滑らせるわ、濡れて寒いわ。散々である。
とりあえずその場で濡れた服を脱がせて、最低限身体を乾かせる。
そして雨が当たらない場所でしっかりと温めるように抱きしめる。
指先、足の指、冷え切ってしまわないように体温を分け与える。
私も寒いが前鬼様はもっと寒いに違いない。
「ありが、とうね」
まだふるえているがだいぶ顔色がよくなった前鬼様。
初日から散々だからこれ以上悪いことは起きないでしょう。
そう前鬼様に提案すると震えながらも笑っていた。




