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「後鬼ちゃん、やめて」
「後鬼ちゃん、やめて」
私の目の前の前鬼様は少し涙目だ。
「んっ!」
にじり寄る私から逃れようと動くがその度に声を上げる。
立ち上がることができず、かと言って足が触れるだけで刺激が走る。
どんなに頑張っても私からは逃げられない。
そして前鬼様のふくらはぎを指でつつく。
「にゃっ!」
身体をこわばらせながら目頭に涙を溜める前鬼様。
「あし、しびれてるから、やめて!」
「痺れているときは、伸ばしたらいいそうですよ」
「ほんと?」
無理やり私が足を伸ばす。声を漏らさないように必死で耐えている。
その耐えている顔にそそられて、つい指でつついてしまった。
「こらぁ!」
怒っているのは分かるが、まったく怖くない。
「もみもみすれば一瞬で治りますよ」
「へっ?」
理解が追いつかない前鬼様の足を思いっきりもみもみする。
「い、いやっ!やめ、てっ!」
私に送り込まれる刺激に声を荒げることしかできない前鬼様。
立ち上がることができたのは随分後のことだった。




