34/117
「後鬼ちゃん、お願い」
「後鬼ちゃん、お願い」
「はい」
いつもに増して派手な浴衣を前鬼様に着付ける。
ぎゅーっときつめに帯を締める。
綺麗な髪飾りを付けて、夏祭りの準備は完璧だ。
基本的に前鬼様の目的は出店である。
かき氷やりんごあめ、どんどん買う前鬼様に私はお財布管理係として着いて行く。
案の定かき氷を一気に食べて身体を震わせている。
食べ飽きたのか、面白い出店を見つけて立ち止まる前鬼様。
「金魚、すくい?」
「珍しい魚ですね」
珍しそうに顔を近づける前鬼様。水面から顔を出した魚と目が合う。
「にゃっ!」
ぴゅっと音がしたと思うと魚が水を吐き出してきた。
それを合図に一斉に他の魚も水をかけてくる。
「や、やめてっ!」
目を閉じているため逃げることもできず、魚の猛攻が終わった頃にはびしょびしょになっていた。
「涼しそうですね」
笑いを堪らえようとして出た言葉がただの皮肉だった。
「一回戻るよ」
「はい」




