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「後鬼ちゃん、お願い」

「後鬼ちゃん、お願い」

「はい」

いつもに増して派手な浴衣を前鬼様に着付ける。

ぎゅーっときつめに帯を締める。

綺麗な髪飾りを付けて、夏祭りの準備は完璧だ。

基本的に前鬼様の目的は出店である。

かき氷やりんごあめ、どんどん買う前鬼様に私はお財布管理係として着いて行く。

案の定かき氷を一気に食べて身体を震わせている。

食べ飽きたのか、面白い出店を見つけて立ち止まる前鬼様。

「金魚、すくい?」

「珍しい魚ですね」

珍しそうに顔を近づける前鬼様。水面から顔を出した魚と目が合う。

「にゃっ!」

ぴゅっと音がしたと思うと魚が水を吐き出してきた。

それを合図に一斉に他の魚も水をかけてくる。

「や、やめてっ!」

目を閉じているため逃げることもできず、魚の猛攻が終わった頃にはびしょびしょになっていた。

「涼しそうですね」

笑いを堪らえようとして出た言葉がただの皮肉だった。

「一回戻るよ」

「はい」


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