「前鬼様、何やってるんですか?」
「前鬼様、何やってるんですか?」
ついに後鬼ちゃんが帰ってきてしまった。
「たす…けて…」
見られた恥ずかしさより、つい助けを求める方を優先してしまった。
タオルケットに絡まった状態で解けなくなっていた。
素直にそれに至った理由をしぶしぶと語り始る。
先ほど後鬼ちゃんが買い物に出掛けたので始めた遊び。
小耳に挟んだ噂で、自分で絡まることができるのに、解けなくなる方法があるらしい。
その噂の真偽を確かめるために試そうとしていた。
噂通りに足や腕を解きやすいように緩めに結ぶ。そして前屈するように首を引っ掛ける。
なるほど、この状態で後ろに倒れてしまうと起き上がれなくなりそうだ。
確かめ終わったので、結び目を解こうとした時に問題が起きた。間違えて固く結んでしまったのだ。
慌てて、結び目がどうなっているのか確認しようと身体を動かした途端、後ろにひっくり返ってしまった。
倒れきるまで体感速度が自身で分かるほど遅くなり、その何倍もの時間をただ後悔に費やしていた。
こうなってしまうと結び目は見えているのにどうすることもできない。
なんとかしようと、どうにかしようとしたが後の祭りだった。
「なにか言い残すことは?」
呆れた顔で後鬼ちゃんが訪ねてくる。
「く、くすぐりは、なしで」
「それはできませんね」
そのあと息ができなくなるまで後鬼ちゃんにくすぐり続けられたのは言うまでもない。




