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「前鬼様、起きてください」
「前鬼様、起きてください」
「ねて…た?」
後鬼ちゃんを見上げる。
そういえば川で水浴びをしていて、休憩しようと横になってから記憶がない。
「私の膝枕はどうでしたか?」
「むぅ…」
嬉しそうに後鬼ちゃんが聞いてくる。寝ている時に勝手に膝を枕にしたらいつもこうだ。
岩ばかりで頭を置く場所がなかったので後鬼ちゃんの膝の上に載せるしかなかった。
今回は仕方がない、と自分に言い聞かせる。
「あれ…」
「どうしたんですか?」
「身体が、かゆい」
「日焼け、ですね」
後鬼ちゃんに言われて腕を見て初めて事の重大さに気がつく。
全身が日焼けで真っ赤になっていた。ひりひりする。
「大丈夫ですか?」
「いたい!」
後鬼ちゃん腕を擦られて痛みが走った。
急いで身体を川の中に入れる。
「後鬼ちゃんっ!」
少し涙目になりながら後鬼ちゃんを睨む。
「数日間は我慢してくださいね」
「むぅ…」
若干哀れみの入った目に、何も言い返せなかった。




