「前鬼様」
「前鬼様」
いきなり後鬼ちゃんに後ろから抱きつかれ耳元で囁かれる。
「昨日の夜」
その言葉に私は息を呑む。
「何が届いたのかしら?」
妖しい口調に私はただ怯えるしかなかった。
昨日の夜、後鬼ちゃんが寝たのを見計らって寝床を抜け出した。
そして夜に宅配物を届けてもらったのだ。
寝ているのも確認したし、気づかれる要因はなかったはずだ。
頬を冷や汗が垂れるのを感じる。その冷や汗を舐め取られる。
「ひぃっ!」
完全に身体が固まっていた私は声を上げてしまった。
「まぁ別に拒否されずに遊べるからいいんですけどね」
返す言葉も無い私に後鬼ちゃんは全身で私を強く抱きしめてくる。
後鬼ちゃんの顔を見られない私には、怒っているのか遊んでいるのかすらわからない。
後鬼ちゃんの吐息が髪や首筋に当たるたびに、声を漏らしてしまう。
「いやっ!」
抵抗できずに抱きしめられているとふいに耳に息を吹きかけられる。
より一層強く抱きしめられる。不意にこの状況が心地よいことに気がつく。
惨めに弄られながら、抱きしめに慰められているような気がして涙が溢れる。
鳴き始める頃には解放されたが、まだまだ私は負けない。




