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「前鬼様ぁ~」
「前鬼様ぁ~」
甘ったるい声で後鬼ちゃんが入って来る。
顔を真っ赤に染めて、目がトロンとしている。
「酔…ってる?」
「ちょっとだけですよ~」
そういえば、実家から何かの記念の果実酒が送られてきた。
寝る前にちょっとだけ味見するって言ってたけど、かなり飲んだのかもしれない。
そもそも後鬼ちゃんお酒弱いし。
「ぎゅ~」
いきなり後鬼ちゃんに抱きしめられる。
果物の甘い香り、それを掻き消す様に強いお酒の匂いがする。
「やーめーてー!」
叫んでも叫んでも、後鬼ちゃんは腕を弱めず逆にもっと強く抱いてくる。
少し痛いぐらいの抱きしめは、気が付くと心地よくなってきた。
この心地よさが何なのかわからず、されるがままに抱きつかれている。
抱きつかれて、気持ちいい?心地よい?安心している?
なぜ自分がもっと強く抱きしめて欲しいのかを考えてもわからない。
そんな気持ち良さの中に私は意識が落ちた。




