「前鬼様、起きてください!」
「前鬼様、起きてください!」
「ふにゃっ!」
若干焦ったような後鬼ちゃんの声に私は目を覚ます。
ぎゅっと胸を締め付けられるような凍りつくような焦りに、一瞬で目が覚める。
「間に合う?」
「多分、大丈夫です」
元からある程度早めに着く列車に合わせて起きようとしていたため、まだ間に合うだろう。
急いで準備を終わらせて駅へと向かう。幸い列車はあり、個室も取ることができた。
そして取ることができなかった朝食代わりに簡単な軽食を買ってから席に座る。
「間に合った~」
ようやく一息がつける。夜のことを考えると若干憂鬱だが、まずは一安心だ。
普段聞き慣れない列車の音、見たことのない窓の外の景色を楽しむ。
はじめはそうやって時間を潰していたが、昼食を食べ終わる頃には退屈になってきた。
そして後鬼ちゃんはうつらうつらと船を漕ぎ始めた。
「後鬼ちゃん眠い?寝ててもいいよ」
「はい…」
昨日遅くまで準備で起きていたのだから眠いのだろう。
素直に安心して眠り始めた後鬼ちゃんはあっという間に眠り始める。
普段、座った状態で眠ることがないため、不思議な気分で後鬼ちゃんの顔を見つめる。
やっぱり髪が綺麗だな、手の組み方が可愛い、寝息も可愛い。
そして夜のためにたっぷりと頭のなかで練習をし始めた。




