「前鬼様」
「前鬼様」
「何?」
「耳掃除しましょう」
「うん、お願い」
特に断る理由もないのでお願いする。
後鬼ちゃんの耳かきはものすごく気持ちがいいのだ。
自分でやっても全然気持ちよくならないので、自分からお願いするときもある。
「じゃあ横になってくださいね」
後鬼ちゃんの膝枕。普段は少し恥ずかしいが、この時だけはむしろ誇らしい。
気持ちの良い耳かきのためには、私は何だって後鬼ちゃんに従う。
「まずは外からですね」
目を瞑っているため分からないが、布のようなもので耳を拭かれていく。
次に綿棒で入り口のあたりを掃除されていく。これだけでも気持ちいい。
もう眠くなってくる。顔もトロンとしているだろう。でもまだ耐えないといけない。
「耳かき使いますよ」
耳の中に入ってくる。感覚はあるがまだ触れていない。ドキドキする。
そして特徴的な音とともに、気持ちの良い快感が耳から伝わってくる。
耳から伝わってくるというより、もう耳は直接感じている。
耳の中を掻く動きひとつひとつが気持ちいい。気が遠くなる。意識を失いそうになる。
「ふぅ~」
耳に息を吹きかける。その感覚で意識が連れ戻される。
「次は反対ですよ」
まだまだ眠るわけにはいかない。




