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「後鬼ちゃん、お願い」
「後鬼ちゃん、お願い」
ようやく観念したのか、前鬼様はしぶしぶ私にお願いをする。
昨夜、転けた時に利き手を捻ったのだ。朝食はなんとか食べようとしてたが半泣きになっていた。
利き手がほとんど使えないことに、だいぶしおらしくなっている。
「わかりました」
幸い机は小さいので、そのまま私は正面から食べさせる。
「あ~ん」
流石に、今日は文句を言わずに口を開ける。そしてその小さなお口にごはんを入れる。
小刻みに、テンポよく頬が動く。ちょうど飲み込んだタイミングで、前鬼様と目が合う。
「やっぱり、横から食べさせて」
「私の膝の上に座りたいの?」
「ち、ちがう!」
「わかってますよ」
確かに私も少し気まずい。話している間、極端に目線を意識してしまう。
そう思いながら、前鬼様の後ろに座る。そして文句なく座ってくる。
前鬼様の髪が触れて少しくすぐったい。
「次は何を食べたいですか?」
前鬼様が手を使えない間は他にも任されることがあって非常に楽しかった。




