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「後鬼ちゃん、眠い……」

「後鬼ちゃん、眠い……」

「なら、早く寝ましょうね~」

目をごしごしと擦る前鬼様に先に寝室へ行くように促し、私は今日の家事を終わらせに掛かる。

しばらくして家事を片付けた私も寝室へと向かおうとして……途中で力尽きている前鬼様を見つける。

「前鬼様ー!ちゃんとお布団で眠ってください!」

「うー」

ここで寝る!と言わんばかりの唸り声がする。彼女は布の塊の中でうつ伏せで埋もれている。

布の塊……中にとても小さな粒が入った西洋の大きな座布団。もちもちとした触り心地は極上で、座れば身体を包み込むように形を変える。先日買ってきたばかりのそれは私達のお気に入りだ。

確かに、その上で寝てしまいたくなるのは分かる。とても気持ちが良いのは知っている。現に私もそれの上で昼寝をしたことがある。と言っても、流石に夜眠る時は寝室だ。

「前鬼様ー。怒りますよー。夜はちゃんとお布団で眠りましょうー」

「……」

反応がない。狸寝入りか、はたまた本当に微睡んでいるのか。

「しょうがないですね」

やれやれと、前鬼様の両脇腹に手を入れ持ち上げる。

「うー。やめてー」

持ち上げられた前鬼様は座布団を離すまいと、なんとか手で座布団を持ち上げる。

「その手を離してください」

「いやー」

「もぅ!」

手を離さないのであれば振り回すまでだ。私がぐるぐると回るように遠心力を掛ければ、容易く座布団を剥ぎ取る事ができた。

「はい。諦めて寝室に向かい…きゃっ! 」

「うわっ! 」

ぐるぐると回った後うまく止まれず体勢を崩してしまう。

なんとか前鬼様を抱きかかえ倒れ込んだそこには、先程彼女から剥ぎ取った座布団があった。

ひやっとしたがこれ幸いと起き上がろうとするが……ほっとした安心感からか腰が抜けてしまった。それにこの座布団の魔力を甘く見ていた。気持ち良すぎて起き上がれない。勢い良く座り込んでしまったのもあるが、抱きかかえた前鬼様の分いつも以上にもちもちとした布の中に埋もれこんでしまった。

「あれれ……早く寝室に行くんじゃなかったの? 」

前鬼様がお腹の上でからかう様に挑発してくるが……私には抗うことが出来ないようだ。

前鬼様が何か言ってきたがそれを聞かないように、しっかりと彼女を抱き、眠気に身を委ねるのだ……


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