「後鬼ちゃん何してるの~? 」
「後鬼ちゃん何してるの~? 」
背後からの前鬼様の声に目をやると、面白いものを見てしまったの言わんばかりの表情で、彼女がにやにやしていた。
私のひそかな癒し。太陽の匂いをいっぱいに吸い込んだ布団を取り込んだ時に、布団に飛び込む。
ふわふわの雲のように膨らんだ布団。太陽の温かさをほんのりと残した布団。そして、落ち着く匂い。
前鬼様に見られるのはなんだか恥ずかしいので、彼女に見つからないようにと確認してから、積み上げた布団に飛び込むのだ。
それを今日見られてしまった。
お布団を楽しみたかったのに中断され、私は布団から這い出し、ばつが悪そうに前鬼様を見つめる。
そして私が抜けだした布団に彼女は飛び込んだ。
ぼふっ! という音と共に顔面から布団に飛び込んだ前鬼様の動きが止まる。しばらく静止したままだ。
取り込んだ布団に飛び込むことが好きなのは私だけではなく彼女もまたそれが好きなのだ。
でも……私はまだ満足していない。
まだ十分温かいであろう布団が徐々に冷えていると考えると許せない。
前鬼様を横に転がし、空いたところに私は飛び込む。顔を埋めれば、ほのかに前鬼様の匂いを感じられる。
「あー。ずるいー! 」
横に避けられた前鬼様が何とか私をひっくり返そうとするが、彼女の力では無理である。腕を引っ張られても私は転がるつもりが無いのだから。
だが、せっかく楽しむつもりだった布団の温もりがほとんど前鬼様に堪能されてしまった。……これは罪を償って頂かないと。
「わっ! 」
腕を引っ張っていた前鬼様の腕を引っ張る。私が引っ張ることを予知していなかったのか、彼女は私に倒れ込む。私はそれをしっかりと抱きしめる。
冷えた布団以上の温もりを彼女は持っている。まぁ、当然といえば当然ではあるが。
背中にはほとんど冷えてしまった上に、柔らかさを失ってしまった布団。
腕の中には温かくてぷにぷにとした柔らかい肌の前鬼様。
しばらく……私は身体を揺らしながら楽しんだ。気が付くと私も彼女も眠ってしまっていた。




