「前鬼様の負けですね~」
「前鬼様の負けですね~」
にやにやとした笑みで私の頬を突く後鬼ちゃん。
「うぅ……」
「それでは狼の鳴き声ですよ? 」
負けたほうが猫のものまねをする。そんな勝負に負けてしまったのだ。
優勢だった時に、つい後鬼ちゃんの猫のものまねを想像して集中力が切れてしまった。負けそうになった時でさえも、頭から離れなかったお陰で負けてしまった。自分の油断とは言え、悔しい。
「にゃ……にゃあ」
「かわいいっ! 」
恐る恐る振り絞るように出した鳴き声に、突如抱きしめられた。鳴きまねの恥ずかしさで顔がとても緩んでいるため、顔を見られない分にはいい。
「よしよし~」
「にゃだーっ! 」
いきなり、頭をわしゃわしゃと撫でられたため、「やだー! 」と言おうとしたのに、猫が混ざってしまった。恥ずかしい。
後鬼ちゃんが気付いているかどうか気になった私は彼女の方に恐る恐る目をやる。もちろんにやにやとこちらを見つめていた。後鬼ちゃんが口を開く。
「にゃだーっ! 」
「にゃっ」
勿論、聞き逃すわけが無いですよ!と言わんばかりのものまね。でもその無邪気にものまねをする様がとても可愛かった。
「にゃぁ~、にゃっにゃっ! 」
もう一度、後鬼ちゃんのものまねが見たい!膝に頬ずりし、猫語を喋る。
「きゃっ、かわいい! よしよし~」
当たり前のことであるが、私の意図は後鬼ちゃんに伝わらず、ただただ私の仕草に興奮している。
「はい、お手」
「いにゃっ! 」と首を振る。
それは犬!と言いたかったが、言葉を発したら余計に頬を摘まれそうであったので、精一杯の抵抗だ。
「嫌がる仕草も可愛いです~」
「……にゃあ」
残念ながらそれすら伝わらなかった。ひたすら頭を撫でられる。私も頭を撫でられることに関しては満更でもない。後鬼ちゃんの膝がとても居心地がいいのだ。しかも、じゃらされる様に撫でて貰える。猫も悪くない。
後鬼ちゃんが飽きるまで、私はにゃーにゃーと甘い声で甘えるのであった。




