067 読書開始 『神話と迷宮』
フワモさんがダラダラと読書する回。
つまり、何時も通りですね(諦観
さて、まずはどういった知識を仕入れていくか決めないといけませんね。
本棚の側面に大雑把な分類が書かれた表示板が貼り付けてあるので、その辺りを確認しながら適当に幾つか見繕って見ましょう。
消音効果を狙ってなのでしょうか、相変わらず柔らかすぎる気のするカーペットの床を踏みしめつつ、ノンビリと図書館内を進んで行きます。
まだ午前中だからなのか、人の気配が殆どありませんね。
受付に座っていたお姉さんと同じ制服を着た方が、蔵書の整理をしている所に行き当たる位ですね。
何処から手をつけていいものやら、ちょっと考え込んでいましたが。
あからさまにプレイヤーの事をピンポイントで狙っているとしか思えない『祝福の冒険者用』という名称の表示板が貼り付けられている、サイズ小さめな棚を発見いたしました。
この本棚からソレっぽい物を数冊適当に引っ張り出して、目を通してみる事にしましょうか。
確か、入り口左の受付正面辺り……一階の中央部分ですね。
その辺りにテーブルと椅子が沢山設置されているスペースがあったはずなので、本を両腕で抱えて其方へと戻ります。落としたりしないように気をつけないと。
手に持たないで、アイテムボックスに一旦収納とか出来れば楽なのでしょうけれど。
試しにやってみても良いのですが……多分、入れようとした瞬間に司書さん達に怒られますよね……
あからさまに盗難っぽい動きですからね……館内でコッソリ本をボックスに突っ込むとか。
歩きながら何気なく上を見上げてみますと、天井部分に物凄い豪華なシャンデリアっぽい物体が、綺麗に等間隔で釣り下がっているのが見えます。
キラキラと七色の光を放っている所を見ると、室内が明るいのはアレのお陰なのでしょうか。
照明で明るくしている様な感じではなくて、なんと言うか……自然に明るい? と言いますか。
影が殆ど出ないんですよね、この図書館内部って。
本を読む環境としては非常に有り難いです。
さて、数人しか人気のない中央のテーブルゾーンへと到着致しました。
早速持ってきた本に目を通すと致しましょう!
まずは『よくわかる! 世界の歴史』という何とも判りやすい題名の本から。
何故か、表紙に絵本風味の、綺麗な瞳をしたラビの絵が書いてありました。
地面に座り込んだファンシー風味のラビが、右手で持った古い石版の様な物を、左手の虫眼鏡で観察している、といった感じの絵です。この絵、生産用スペースに置いてあったマニュアルの絵とそっくりだ。
さて、あまりじっくりと文章を読み込んでしまうと、恐らく読書だけで今日一日終わってしまいそうなので、ざっと流し読みしつつ、気になった所は詳しく確認する感じで進めていきましょう。
まだ色々と終わっていない事柄が、大量に私を待っているのです。
いえ、忘れたりしてないですよ? 本を読んでいるうちに忘れる可能性は……アリマスケド。
では早速と表紙を開いて目を通してみますと、本当にわかりやすい文章で簡潔に書かれておりました。本文も挿絵つきで見やすい。
読んだ内容を大雑把に説明いたしますと。
この世界は過去に起こった神々による大きな戦いで一度バラバラになり、生き物たちも滅びを待つのみの存在となっていた? らしいです。
この辺りは神話として残っているばかりで、実際に起こった事かどうかは未だ判明していないとか?
その後、神々の戦いを生き延びた一柱である安寧の女神様と、生き残った人間の中でも類稀なる力を持った、初代楔の姫巫女様が力を合わせて世界を纏め繋ぎとめて。
現在の様な、生き物が普通に生きていける世界になった! といった感じ。
そして魔物とは、神々の戦いで世界に散らばった戦闘の残滓……アレイアさんに聞いた魔素とやら、が古に起こった戦いの記憶を引きずった状態で凝縮し、生き物に害をなす存在として現れたもの、らしいです。
この辺りの魔物のくだりは、過去に安寧の女神様の神託か何かで、人々の中に浸透した知識?
という事みたい。
倒すと光になって消えちゃうのも、そういった部分から来ている感じなのでしょうか。
まぁ、そのまんまゲーム処理的な問題だろうって言っちゃうと、情緒がないですけど。
後は、その神託を受けた人々が安寧の女神様の力の一部を授かって、ソレを祭る為の建物を各地に建て始めたのが、今現在各地に建てられて、町を魔素の影響から守っている神殿の成り立ちらしいです。
その女神様の力を受けたアイテムを守護する為に設立されたのが『女神騎士隊』という、現在の神殿護衛騎士団の前身となる集団だったとか。
あとですね……一番ボール君に使われている素材の『創世龍』という生き物? に関しての記述を発見いたしましたよ。
本当にコレがソレなのかアレなのですが。何いってるのか自分でもちょっと謎。
えーとですね。
『創世龍』というのは、安寧の女神様の妹? にあたる『流転の女神』が戦いに向けて自ら変化した存在らしく。
世界の破片を集めたのが、安寧の女神様。
繋ぎとめたのが、楔の姫巫女様。
そして、神々の戦いで姉を庇って瀕死になり、自ら新しい世界の土台となってその体を差し出したのが、女神様の妹さんの化身である『創世龍』らしいです。
……ボールになんていう素材を使っているんですかね!? お尻置くのも躊躇われますよ!?
でも、世界の土台っていうならば、今現在たっているこの大地自体が、『創世龍』だと言っても過言ではないのではなかろうか?
それなら、お尻を乗せる位なら笑って許してもらえるかな。どうだろう。
神話関連のお話は大体こんな感じでした。
あとはドコドコのナニがどういった感じで、等の細かい記述がてんこ盛りでしたので。
面倒だから、適当に斜め読みして読了! 大雑把とは言わないで。
女神様関連のお話が色々と確認できたのは良かったかな。うんうん。
次の本は『ラビでもわかる! 迷宮と魔物のおはなし』という本です。
表紙にまた本物とは似ても似つかない、可愛らしい瞳とポーズのラビが描かれています。
そのラビの横にカミナリマークみたいな裂け目? の絵が描いてあって、そこから2匹目のラビがヒョイっと顔を出している……といった優しい色合いの絵です。またもや装丁が非常に絵本っぽいですね。
この本には、アレイアさんにも説明を受けた、魔素迷宮の説明が記載されておりました。
魔物を倒した時に散らばる残滓が、目に見えぬ所に未だ多数残っている世界の亀裂へ吹き溜まって、そこで凝縮され迷宮と化して、生き物を駆逐するべく魔物を生成するらしいです。
長いあいだ魔素迷宮を放置していると、中から魔物が大量に湧き出てきて、非常に危険という事。
見つけたら積極的に突入して迷宮内部の敵を倒さないと駄目です! っていう事ですね。
とりあえず、荒事関連は強い人にお任せしましょうかね……発見したら報告だけする感じで、どうかな。
でも悪い事ばかりではなくて、魔物を倒す事によって世界に魔力が循環するらしく、植物の成長に良い効果があったり、魔物から産出される魔石もいろいろな分野で素材として使用されている、と。
ふむふむ……魔物は私たちの敵であり、必要な資源みたいな物でもある訳だ。
魔物からでるアイテムだって沢山あるものね。お肉とか皮とか生活に便利な物を落としてくれるし。
迷宮が生成される以外でも魔素が濃い所では、強い魔物が産まれるとも書いてあります。
町の周りには弱い魔物しか出現しないのは、女神様の力が影響している為だとか?
魔物に関してもいろいろな事柄があるものですねぇ。
でも、とりあえず生き物のようで生き物では無い様なので、ちょっと安心しました。
流石に生き物相手に問答無用で撲殺行動するのは、少々躊躇っていたのですよ。
世の中の為になると言うのであれば、ラビ君達をポコポコ殴るのだって厭いません!
さて、3冊目は『あなたも安心! 法律のほん』という一冊です。
これは念のためもってきた感じですが。
恐らく、現実世界で犯罪な行動は此方でもアウト! って感じで良いでしょうし。
でも万が一の為を考えて軽く目を通しておこうと思いまして。備えあれば何とやら。
この本も何故か表紙にラビのイラストが。
中央にラビが腕を組んで首を傾げた状態で立っていて、その両側に『○』『×』のマークが表示された立て札が設置されている、という絵が描かれています。
これ、挿絵作家さん全部同じ人だ。仕事量多くて大変そう。
 




