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050 野菜果物 エピルの実

八百屋のオバ様。


ようやく50話到達(全話数では51話

100話目指してボチボチ頑張ります、はい。

 ガルドスさんの勇姿を視界の端に収めつつ、胃酸魚クンの噴水辺りを目指して歩を進めます。

 まずは何から手を付けていきましょうか。


 材料の量からして、ポーション作成からスタートするのが良いでしょうかね。

 たっぷり採取出来ましたし、今日は初の製作物であるマナとスタミナのポーションも作る予定ですからね。手順は大体同じだろうとは思いますが、時間的な余裕がある今のうちに、早めに手を付けておいた方が良いでしょう。


 生産用スペースを使うかどうかちょっと悩みましたが、ポーションならば公園でも問題ないだろう、と思い、北門から中央通を進んで噴水に向かうルートの途中で左折、路地のほうへと進行方向を変更いたします。


 この辺りはまだ道を覚えきっていませんので、メニューからマップを表示させて確認しつつ進みましょう。公園へと向かうルートの途中で、昨日通りすがった商店街のような場所に差し掛かりました。

 この辺りのお店は朝でも開店営業中の様ですね。ちらほらとお店を利用している方々が居ます。


 そうだ、なにか軽く口に入れられる果物とか売ってるお店は無いかな?

 ちょっとソレっぽいお店がないか探しながら進みましょう。


 左右を見回しつつ歩いていますと、ぱっと見て八百屋さんのような雰囲気のお店が視界の隅に引っかかります。数人お客さんが商品を選んでいる脇から覗いてみると、恐らく野菜かなー? と思われる植物ぽい商品や、たぶん根菜系の野菜? に見える棒状の物体がずらっと店先に並んでいるのが見えました。


 八百屋さんを利用した事がないので少々尻込みしながら、恐る恐るお店の方と思われる、何かの革で出来たエプロンを身につけている、もう見るからに下町の元気なオバ様! といった感じの女性に声を掛けてみる事にしました。

 普段私がお野菜を購入する場合は、大体近所のスーパーで済ませていますので……こういった直でお野菜を購入するタイプのお店は慣れておらず、ちょっと緊張いたしますね。


「あのーすみません!」

「はいはいー! 何かお探しかしら? あら、この辺りでは見ないお顔ね?」


 私より先に来店されていたお客様の一人である、メディカさん位のお歳と思われる女性の方と会話中だったオバ様が、私の声に反応して此方を向いてくれました。

 ああ、会話中ならちょっと待った方がよかったかな。スミマセンです。


「あ、私は新米冒険者のフワモと申します! 宜しくお願いします」

「あらぁ冒険者さんかね!? ウチみたいな店でお買い物なんて珍しいねぇー! お料理の材料でもお探しかい?」

「うう、お料理の腕前は聞かないで下さい……果物を販売していたら購入したいなと思ったもので」

「はいはい果物ね! 何種類か揃えてあるよ! でもウチは冒険者さんが持ち運べるような、長期保存の利く商品は取り扱ってないけれど大丈夫かい?」


 店の右奥の方を指差しながら、オバ様が私に問いかけてきます。


 祝福の冒険者には女神様の加護によるアイテムボックスの能力があって、中にアイテムを保管しておけば時間が経過しなくて鮮度も全然大丈夫! だと説明いたします。

 女神の加護の件の辺りから、開いた口が塞がらない状態で私の話を聞いていたオバ様は、感心するような表情で頬をなでつつ、何度も頷いています。


「なるほどねぇ! 祝福の冒険者さまっていうのは凄いねぇ! なら日持ちしない果物でも全く問題ないね、どんどん買っていってちょうだい!」

「よ、予算があまりないので程ほどにしておきます、あはは……」


 陳列してある果物は、見た目はミカンですがサイズが大きい『オレン』という果物(オレンジかな?)


 四角い形をした黄色い『マウリ』という名前のズッシリと重い果実(香りはマンゴーっぽい?)


 あとは、見た目完全にリンゴな『エピル』です。コレだけは見た瞬間にエピルだ! と思いました。

 味と見た目が一致している果物で良かったですね。判りやすいです。


 ちょっと悩みましたが、味に馴染みのあるエピルを購入する事にしました。

 一カゴに5個陳列されていて、5個セットで3ゴールドらしいです。


 2セット10個分で6ゴールドを支払い、果物を無事購入した所で、少々問題が発覚いたしました。

 大体、私の握りこぶしよりも一回り大きい位のサイズを誇るこのエピルですが。

 このサイズをまる齧りは流石に厳しいです。主に私のアゴの最大仰角的な意味で。関節がヤバイ。


 歯茎から血が出る事等はないとは思いますが、結構ズッシリと実が詰まっているサイズなので。

 何とか食べやすいサイズにカット加工してもらえないか、と聞いてみた所、無料でカットフルーツにしていただけるとの事。いやー助かりました。


 全てのエピルを食べやすいように4等分にカットしてもらい、オバ様の目の前でそれをアイテムボックスに収納して見せます。ふふふ、何となく手品でも披露している感覚です。

 あくまでも女神様の加護で自分の力では有りませんが、楽しそうに見てもらえるとちょっと嬉しいですね。


「はぁー凄いもんだねぇ! またご贔屓にヨロシクね!」

「はい! 此方こそどうもありがとう御座いました! また宜しくお願いします!」


 ペコペコ頭を下げた後、手を振りつつ八百屋のオバ様や他のお客さん達とお別れいたします。

 中々いい買い物をしました。コレだけあれば暫くは果物には困らないでしょうか。


 公園へのルートをマップで確認しつつ、忘れてしまわないうちにアイテムメニューを開いて、カットエピルの詳しい情報を確認してみます。

 10個で一まとめのが4箇所で40個ありますね。全部のエピルを4等分にカットしてもらったから、アイテム数がもりもり増えております。


 所持数が厳しくなってきたら、自分でカットするようにした方が良いかもですね。

 果物カットするだけでもお料理スキルが必要になるのだろうか……ううむ。


=====================


 アイテム名 【エピルの実】

 等級  一般(コモン)

 品質 ☆★★★

 破損度 問題無し

 属性 ※器用度増加『微』 ※空腹回復『微』

 付加能力 ※色彩『赤』 ※香り『甘味』

 効果待機時間 1800カウント

 詳細 この世界に広く分布する樹木にみのる果実。

    スッキリとした甘味と、仄かで爽やかな酸味が特徴。

    主に料理の材料になるが、そのまま食べる事も可能。

    一部魔物の好物でもある。


=====================


 うんうん、ちゃんと器用度が上がるって説明文に記載されていますね。


 品質が黒くなっているのはカットフルーツに加工しちゃったからだろうし、恐らく大丈夫なはずです。

 破損度のほうは『問題無し』になっていますしね。

 あと一部の魔物の好物らしいです。


 何となくですが、ラビが両手でエピルを持ってモグモグ齧っているイメージが沸いて来ました。

 うん、とてもそれっぽい感じ。


 ああ、脳内イメージのラビはこんなにも可愛いのに、何故に本物はあのように肉食獣な佇まいをしていらっしゃるのでしょうか。非常にせつない。


 悲しんでいても仕方ありませんので、早速エピルの切り身を一つ取り出して口に放り込んで見ます。

 シャキシャキの歯ごたえにジューシーな果汁が。皮も柔らかめで食べやすいですね。美味しいです。


 気をつけて食べないと、果汁が指先についてベタベタになっちゃうかな? とか思っていたのですが、口に入れるまで汁気が溢れてくる事は有りませんでした。

 なんという有能果実。食べやすさ満点です。


 これで器用度がアップしているのでしょうか? よく判りませんね。

 とりあえず何処かに表示でも出ていないかな? と思い立ち、メニューを開いて自分のステータスの部分をじっくり確認してみます。


 えっと、何処を見れば確認できるのだろうか。実は表示が出ない、とか言う鬼畜仕様ではないよね?


 ひとまず順番に上から確認していく事にします。

 ステータスメニューのトップには私の名前が表示されておりまして、その下に3本ライフとスタミナとマナの数値ゲージが並んでおります。この辺りは大分見慣れた部分ですね。

 その下には各種ステータスのゲージが出ているのですが、『器用度』のステータスが増えているのかどうか、全く判別がつきません。


 これは表示されていないのかな? と思いつつ首を傾げて歩いていましたが。

 名前の右側の空きスペースに、見覚えのないフォークとナイフがクロスして配置されているマークが付いているのに気が付きました。これ、普段は表示されてなかった……よね?


 マークの部分に人差し指を伸ばします。すると何時もの如くピン♪ という音が鳴りまして。


『食事効果 発動中 エピルの実』


 という表示が現れました。

 ああ良かった、このマーク表示が食事効果が出ていますよ! っていうサインなのですね。

 これならば、たまにメニューを開いて確認していけば効果時間を把握できそうです!


 どうせ生産中に食べていく物ですし、落ち着いた状態ならば私でも間違わず確認できるはずです。


 問題は、食事効果の持続時間がどの程度あるのかです。

 効果の待機時間は1800カウントとなっていますので、30分間は次の食事をしても効果が発揮されない、というのは判別できるのですが。


 器用度上昇の効果がどれくらい持続するのか、が記載されていないのですよね。


 品物や食べた量によって変わったりするのでしょうか。

 メニューを確認しつつ自分でチェックしてくしか無さそうですね。


 ああー切実に時計が欲しいよー!

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