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047 採取継続 取得権

すぐ取得したスキルの存在を忘れるフワモさん。

 それではあまり戦闘中の方々を邪魔しない様、奥のほうへ移動しましょう。


 あちらの杖を持った女性の方と笑顔で挨拶を交わせたとはいえ、魔法使い然としたあの方と、黙々とキノコむしり家業を営んでいる私。

 この二人の距離感を表す例を挙げるならば。

 たとえばそう、早朝に燃えるゴミを収集所に置きにいった時、偶然に顔を合わせた2部屋位お隣に住んでいらっしゃる人との挨拶……と同じくらいの距離感覚です。 

 ……我ながら喩えが判りづらい。


 不意に、あのでっかい蜘蛛みたいに物騒な魔物とご対面! なんて事にならないようにお祈りしつつ、奥へ進みます。


 出会ってしまっった場合、ダメージや毒などを受けてしまっても回復手段が全く無いので対応できないのが厳しいです。

 まぁお金第一というか、後先気にせずにお薬全部売っちゃいましたからね……仕方が無いです。


 などと考えつつ歩いていると、にょきっと足元に見覚えのあるお花が一本。

 平原だけでなく、森の中にも【魔力の花】は自生しているようですね。


 確かアイテムの説明では、大陸の全域に分布している! みたいな事が書いてありましたし。咲いている場所は平原だったり森だったりするのでしょうか。植物なのに光合成とか大丈夫なのだろうか。結構日差しが遮られている感じなのですけれど、この森って。


 でも【魔力の花】って言う位ですし、普通の植物みたいな光合成じゃなく、空気中に漂っているマナのパワーを吸収で成長! みたいな感じなのでしょうかね。

 確かリアさんが残してくれた【緑石のペンダント】の説明で、何やら大気にマナがあって云々、等と仰っていましたし。


 おっと、色々考えながら歩いていたら、目の前に【ラビ】が出現いたしておりました。灰色ラビ君なので放置していても大丈夫かな。気が付かないで、あやうく蹴っ飛ばすところでしたよ。


 ラビ君以外の魔物に出会う事もなく、今の所は特に問題無しで移動&採取を進められております。


 森の中に入ってから2本目の【魔力の花】を発見したところで、少々離れた所からガツン! と硬いものが金属に衝突したような音が響いてきました。

 何だろう? と思い振り返って確認してみますと。


 少し離れた所で、先ほどのパーティの方々が今度はイノシシ? の様な魔物と戦闘を開始しておりました。あんな魔物もいるんですね……ドカンと追突されたらと思うと、何とも恐ろしい。


 採取物があるような場所は視界が程よく遮られる茂みが多いので、出会い頭にぶつかったりしない様、十分注意していかねばなりません。


 普通のゲームのRPG等だったら、上から見下ろす視点で敵が何処にいるのか判ったりするのでしょうけれど。一々しゃがみ込んで採取している私には、茂みがビッチリと目隠しになっていて、辺りを確認しづらいのです。

 一応立ち上がれば問題ない位なのですが。


 よし、素材も大分集まりましたので物騒な敵と遭遇する前に森から脱出しましょう。

 先ほどからフラグっぽいことばかり考えてしまっていますからね……こういう時は危険です。


 立ち上がって進んできた道を引き返すと、先ほどのパーティさん達の横を通り抜ける感じのルートに。

 でっかいイノシシは無事撃破した模様ですね。皆さん大きめの石に腰掛けて、飲み物を飲んだりしつつ、休憩していらっしゃるみたいです。

 こちらから壁方面へ抜けていけば敵も居ないようですし安全でしょうか。


 お! 剣を使っている方の腰に魔法のポーチをが装着されている!

 色々とアイテムを取り出していっていますね。なるほど、あれは便利そうだなぁ……早く自分用のを作らないとね。おっと、あまりジロジロと不躾な視線を向けては失礼ですね、気をつけなければ。


 お隣を通りすぎる際に、一方的にお世話になりっぱなしであった6人パーティの方々にペコリと頭を下げておきます。色々と安全に採取できました、ありがとう。

 あちらからお返しに『ども』とか『ちわー』とかフランクなお返事が聞こえてまいりました。


 このパーティの皆様、私のように最初の装備のままの人は見当たらないです。

 色々とプレイ速度が足りていますね。


 だが私だって、この後ポーションを作りまくってお金を稼ぐ手筈になっているのですよ……ふふふふ。


 自然と尻尾がワッサワサと動いておりました。おっと静まれ私の心よ!

 ふふふ、お金があればブラシも購入できるし、その他もろもろ込みで色々と楽しみです!


 敵と遭遇する事もなく無事平原へと抜けた私は、壁際を伝って門へと到る昨日通ったルートで歩いて行きます。勿論途中に残っている採取物は頂いて帰りますよー! 

 お、薬草残ってるぞ! いただきまーす。


 数本残っていた【薬草】を毟っていると、なにやら草の陰にキラリと光るものが紛れておりました。


 あれ……? どなたの物か判りませんが【ラビの魔石】らしき物体が草に紛れて地面に落ちっぱなしになっておりますね?

 周りを見回してみても、この魔石の正当な持ち主らしき人が見当たりません。

 拾い忘れていった方が居るのかな?


 んー、コレ勿体無いですし、拾ってしまっても良いのでしょうか。

 人が見て無くても窃盗になったりして怒られちゃうかなぁ……アイテムって、このまま放置しておけば勝手に消えたりするのでしょうか。さて如何したモノか。


 ええい、モノは試しだ! ちょっと拾ってみよう! 怒られたら謝罪する方向で!


 落ちていた【ラビの魔石】を人差し指と親指で摘んで目の前までもって行きます。

 うん、間違いなく【ラビの魔石】だね。


 誰が放置していったんだろ。相打ちとかになって【死に戻り】したとかかなぁ?

 等と考えていると、魔石から小さなメニュー板がポン♪ という音と共に飛び出してきました。


 ビックリして思わず地面に【ラビの魔石】をポイしてしまいましたよ! 何事ですか!?

 恐る恐る、表示されている文章を確認するために、地面に座り込んでメニュー板を覗き込みます。


『権利者のアイテム取得権が失効するまで あと 22カウント』


 地面に落ちた【ラビの魔石】から出現したメニュー板に、今まで見た事の無い文章が表示されておりましたが……うーん? 取得権失効とな? 


 一体何の事だろう、と思っている間にもカウントが減っていき、遂には0になりました。

 何かが起こるのだろうか。物騒な事じゃなければ良いのですが……


 カウントが0になった後、メニュー板に記載されている表示が変更された模様。

 これ触っても大丈夫かな……


 ツンツンと魔石を突いても特に反応は有りません。

 とりあえず再度摘み上げて確認してみましょう。うんうん、触っても特に害は無さそうです。どれどれ?


『取得権が失効いたしました 取得条件を『全プレイヤー』に変更』


 んー? これってつまり、敵を倒した人が持っていかなかったし、放置されてる物だから誰でも拾っていいよ! 的なアイテムになりましたーって事で良いのでしょうか?

 お咎めが無いのであれば頂いてしまおうかな? とちょっと考えたのですが。


 でもそこまでする程、早急にお金が必要なのだ! って訳でも無いのですよね……

 そうだ、放置したアイテムがどうなるのか確認する用に、このまま地面に置いた状態で観察してみましょうか!


 これなら魔石の持ち主さんが来た時も安心です。NO犯罪的な意味で。触らぬ神に祟りなしですね。


 立ったまま待っているのも何ですので、取り合えず一番ボール君を呼び出して腰を下ろします。

 白ラビが出現すると危ないですし、アイテムボックスから武器を取り出して持っておきましょう。

 ヤツは先制攻撃をしてきますからね!


 平原の中央辺りで戦闘を繰り広げている方々をボーっと眺めつつ、武器と一緒に取り出したポコ豆を摘みます。ぽりぽり。

 うーん、さっぱりとした早朝の空気は清清しくて良いですね。のんびりです。


 採取したポーションの材料の総数を確認しつつ、そういえば【支援魔法 付与・劣化】のアクティブスキルを未だに確認していない事を思い出します。

 というか魔法を使用していかないとスキルが成長しないし、こういう暇を見て自分の持ち物に使っていくような癖をつけないと駄目ですね……


 自分で取得したスキルなのに、ついつい存在を忘れてしまいます。


 アイテム生産に使用できる! といった理由の元に、その場の勢いで取得したスキルですからね。

 待っている間にアクティブスキルの内容でも確認してしまいましょうか。

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