045 素材確認 05
果たして自作したアイテムに名前が強制的に記載されてしまうのか、その事実を確認するために昨日頑張って4枚なめしたラビの毛皮の詳細を確認します。
願わくば記載されていないか【■■■】みたいに伏字とかになってると嬉しいな……
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アイテム名 【なめした ラビの毛皮】
等級 良質
品質 ☆☆☆☆☆
破損度 問題無し
属性 ※物品『物理』 ※なめし革『良質』 ※衝撃吸収『微』
付加能力 ※色彩『灰』
効果待機時間 60カウント
詳細 魔物の皮をなめした物。
属性や付加能力などは元になった素材や作成工程により様々。
主に革細工や衣服等の作成に使用する。
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お! 良かったぁ名前は記載されておりませんでした。
となると何かしらの方法か、お名前を記載する為のスキルなどが存在したりするのでしょうか。私のアイテムに記載されていないって事はそういう事ですよね。
スキルレベルの問題とかなのかな?
ああ、一応昨日屋台のお兄さんが焼きに焼いていた、ラビのお肉の串焼きも確認しておきましょう。
スキルレベルの高さで名前が記載されたりするのであれば、昨日始めたばかりであろうお兄さんの串焼きにもお名前が記載されていないという流れのはず。どれどれー?
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アイテム名 【ラビの肉の串焼き】
等級 一般
品質 ☆☆☆☆☆☆
破損度 問題無し
属性 ※空腹回復『中』 ※筋力増加『微』
付加能力 ※色彩『茶』 ※香り『食欲』
効果待機時間 1800カウント
詳細 ラビの肉を焼いて味付けした物。
一般的な屋台メニューとして知られている。
味付けの種類は製作者によって様々。
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ああ、やっぱり屋台のお兄さんのお名前記載も無いですね。
やっぱりスキルレベルなのかな? それとも店舗を所持しているお方に限り、売り物にお名前が記載されていたりするのかも知れない。
スーパーで売っているお野菜の上に貼ってあるシール等に『この野菜は私たちが作っています!』みたいな感じで名前が表記されている様な雰囲気で。
詳しいお話は当事者であるメディカさんにお聞きすれば一発でしょうし、問題は無さそうです。
あとでポーションを売りにいった時、その辺りの詳しいお話をお聞きしてみましょう!
さて、残りは……一応現在身につけている冒険者の名を冠した装備品の性能も見てみましょうか。
……あーそっか、アイテムボックスに入れないと確認できないよ。
んー流石に脱ぐわけに行かないよね……一旦着替えても良いけれど……あー、靴なら大丈夫かな?
ひとまず左足に履いていた【冒険者の靴】から足をスポっと引き抜きます。
おっとと!? ……数十センチ位しか高さのない路肩の石に腰掛けた状態で靴を脱いだので、非常にバランスが悪いというか、後ろに倒れそうになるというか。こ、腰に来るポーズですねコレ!?
そうだ、一番ボール君を呼び出して現在絶賛裸足状態の左足を乗っけておけば、足の裏も汚れなくて一安心です! 我ながら中々いい考えです!
早速一番ボール君をアイテムボックスから取り出し、丁度いい高さに設置、左足を落ち着けます。
ふー……さて、さっさと靴を確認してしまいましょう。
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アイテム名 【冒険者の靴 左】
等級 特殊規格
品質 ☆☆☆★★★
破損度 問題無し
属性 ※防具『靴』 ※防御力増加 ※地形効果軽減『微』 ※革『一般』
付加能力 ※色彩『黒』 ※修理費用半減
効果待機時間 10カウント
詳細 第一期募集プレイヤーに配布される装備。
性能はそれなり。
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ふむふむ、地形効果? とやらが軽減されるようです。水溜りや泥で足がとられてしまう様な所で歩きやすいよー、のような効果でしょうか。
そこそこ重量のある結構頑丈な作りの靴ですからね。
というか見た目的には靴というより完全にブーツっぽい形ですけど。そこは突っ込んではいけないのかな。使えれば問題ないか、うん。
って品質のところのお星様が3個ほど黒くなっているのに今気がつきました。なんでだろう?
無茶な使い方をした覚えは有りませんし、初めてみた現象で理由が良く判りません。
取り合えず、右足の靴からも足を引っこ抜いてアイテムボックスに収納、こちらも同じような状態になってしまっているのか確認してみます。
うう、お尻を路肩の出っ張りに、両足を一番ボール君に乗せたバランス状態で静止している格好なので、体勢的に少々辛くなってきたぞー!?
こう『L』の形に体を維持している状態です。
何だか腹筋と太ももに効きそうな感じが! VRゲーム内だけど!
などと身体をグラグラさせながら両手を使ってバランスを取っていたのですが、背後から何となく視線を感じた様な気がしたので、ちょっと振り向いて確認したのですけれど……
先ほどと変わらず、噴水回りや中央通りにポンポンとプレイヤーさんらしき人達が現れては歩き去っていくばかりで、此方に視線を向けている人は見当りませんでした。
あれぇー? 気のせいだったかなぁ?
とりあえずこのままだと辛いので、プルプルしつつ強引に右の靴をアイテムボックスへ収納しに掛かります。なんとか仕舞う事に成功したので、改めて靴の詳細を確認してみますと。
品質のお星様が元に戻っていました。
というかアイテム名が【冒険者の靴】になっていました。
あー、つまり片方だけしか収納してなかったから品質が半分になった? のかな? 衣服とか鎧みたいなのもパーツが紛失すると品質が削れちゃうのかも。納得。
パーツが紛失といえば初心者用のキット類もどういう物なのか気になります。確認しましょう。
その前に靴を履きなおさないと……あー無駄にスタミナを消費した気がする……ってちゃんとスタミナのバーが減っておりました。VRゲーム的にも辛い行動だったようです。なんということだ。
それでは【初心者用調薬キット】を見てみましょう。
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アイテム名 【初心者用調薬キット】
等級 特殊規格
品質 ☆☆☆☆☆☆☆
破損度 特殊耐久度
属性 ※物品『物理 集合体』 ※スキル使用 ※成功率増加『調薬 微』
付加能力 ※修理無効 ※自動補填『80%』
効果待機時間 10カウント
詳細 【調薬】練習クエストをクリアすると貰える初期キット。
性能はそれなり。
パーツ紛失した場合、他のキット器具がある程度残っていれば自動的に補填される。
その際マナを消費するので注意。
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ふむふむ、ちょっと今まで見てきたアイテムと全体的に雰囲気の違う説明ですね。
耐久度は……これは、ある意味設定されていないって事なのかな?
一応【調薬】の成功率が増加する効果もあったみたい。無料でいただいた物ですがなかなかの性能。
あと【修理不要】じゃなくて【修理無効】になってますね? 意味合いは何となく判りますが。
昨日生産スペースで、細かい備品関係を紛失したり壊したりしたらどうなるんだろう? 等と気になっていた時がありましたが。
コレはつまり、ちょっとした紛失物ならポーションを詰めた試験管のビンみたいに、勝手にマナを消費して補充してくれる、という事で間違い無さそうですね。
全くもって、どういう構造なんでしょうね本当に。ファンタジーだ。
そして恐らく予想ですが、80%を超える備品を破損並びに紛失した場合は完全に使用不可能になる、とかそういったものではないでしょうか。あくまでも予想ですが。
って事は……例えば薬草のペーストをグツグツ煮こんだビーカーっぽい入れ物に、何かしらの要因でヒビが入った! なんていう時は。
あえて地面に思い切り叩きつけて粉砕しなさい! って事でしょうかね。
なんとも豪快な修理方法(?)ですね……いやまぁ元に戻るのであれば良いのですけれども。
※ サービス開始二日目 噴水前で待ち合わ中だったリアル友人3人PTの会話から抜粋
男2「ログイン完了! うっし、今日もスキル上げ気合入れていかねぇとな……オッス、待たせたな!」
男1「……ん? あー おはよう」
男2「まだ寝ぼけてんのか? 今日は南方面行くんだっけな! 楽しみだぜ」
男3「お! 来たか。おはようさーん」
男2「おっす! なんだログイン俺が最後だったんか。今日は南方面にいくんでよかったよな?」
男1「おお……そうだな」
男2「……こいつどうしたんだ?」
男3「ああ……あそこ見てんだよ」
男2「ん? ……あ! あれって昨日見かけた娘? ……お前なぁ、本気でセクハラ通報来たらどうすんだよ」
男1「俺、別にケモノ耳とか何とも思ってなかったんだけどさ……目覚めたっつうか……良いよな」
男3「凄いだろコイツ」
男2「なんとも言えねぇよ!」
男1「バッカお前あのケモノ耳がヘニャ……ってなったりピーン!ってなったりしてんだぞ!? 素晴らしいだろ!?」
男2「俺に話を振るなよ!?」
男3「もう完全に紳士だな……」
男1「そしてあのフサフサの尻尾の魅惑的な動きを見ろよ! 最高だろお前!」
男3「昨日もその辺にいる獣人のプレイヤー色々見てたしなお前」
男2「……もう止めねぇよ。だから自重して楽しめよ……」
男3「ほれ、ポーション購入してきたし出発すんぞ!」
男1「わ、わかったよ……」
フワモさん「……あれぇー? 気のせいだったかなぁ?」




