040 念じて動く 耳 尻尾
プレイ二日目突入!(40話
速度アップしていけると良いですね。
色々と確認しつつ髪の毛を乾かした後、ささっと布団に潜ったのですが。気がついたら朝になっておりました。普段よりも格段に寝つきが良かったですね。
ベッドに横になっていただけで身体を動かしてはいないのですが、頭のほうは働かせていたので疲れていたのでしょうか。
まぁ学校で勉強をしている時のような頭脳労働を強いられていた訳ではなく、主に下手な考え休むに似たりといった、無計画的で自業自得な頭脳疲労であるのは確定である状態だとは思うのですけど。
思考能力のご利用は計画的に。
非常にスッキリサッパリと土曜日の朝8時頃に目を覚ましましたので、保険で9時頃にセットしておいた目覚まし時計のアラームスイッチを、カチリとオフにしてベッドから起き上がります。
朝ごはんはどうしようかなぁと思いつつお腹をさすって見ましたが、固形物は胃袋に入らなそうな感じでしたので、とりあえず冷蔵庫から野菜ジュースを取り出して胃袋に流し込みました。
うん、野菜摂取は大事です。
そこまでお腹は減ってないから、とりあえず朝食は抜いても大丈夫でしょうかね、うん。
こんな食生活をしているので、貧弱ボディなのでしょうかね。省エネボディだと言い張りたい所存。
それではパジャマから部屋着へと装備変更後(VR的なノリで言ってみました)体調を崩したりしないように、しっかりとエアコンで室内温度を調整した後、VRゲームへログインします。
今回はちゃんと消灯も確認して始めますよー。同じ失敗は繰り返さないようにしませんと。
ベッド横に座るとHMDを頭に装着して電源を入れます。起動を待っている間にささっと消灯してベッドの中央に移動、間違っても床に落ちたりしないよう、腰を落ち着けます。
たまーにHMDから伸びている配線が、身体に巻きつきそうになるんですよね。無意識に寝返りをうっているようなので。長時間プレイする場合はしっかり位置に気をつけなければなりませぬ。
HMD内蔵の基本プログラムが無事起動し、目の前に操作パネルが出現いたしましたので、VRゲームのショートカットを選択起動。
昨日はこのプログラムを起動しっぱなしにした状態で、HMDを装着しつつ待機している状態だったので、ゲームのサービス開始直後に問答無用でVR空間へ飛ばされたのですよね。
ゲームのプログラムが起動したようで、目の前にメニューが出現いたしました。
『compound world online を 開始いたしますか ? はい いいえ』
当然『はい』を選択して、しっかりとベッドに横になって目を瞑り、思考がVR空間へ移動するのを待ちます。流石に2度目のログインですので緊張もだいぶ和らいでおります。
今日はどれくらいプレイしようかなぁ等と考えていると、意識が七色の光に飲まれ、昨日と同じようにゲームVR空間へと飛ばされるのでした。
『compound world online へようこそ IDとパスワードの入力をお願い致します』
VR空間へ移動が完了したようなので辺りを見回してみると、そこは昨日ログアウトした噴水前ではなく、アバターの作成で訪れた白い空間でした。
ああなるほど、ここでIDとパスワードを確認するのか。納得。
目の前に設置されていた石版のような入力フォームにIDとパスワードを打ち込みます。打ち込み終わって決定ボタンを押した時、石版横へ追加の透明な案内板が音と共に浮かび上がりました。
『IDとパスワードを保存いたしますか? 【保存領域はHMD依存になりますのでご注意を】』
ふむふむ。毎回入力が面倒ならHMD内にIDとパスワードを保存出来るよ! っていう事でしょうかね。でも他人にHMDを使用されたら、不正使用される可能性がありますよ、って事ですよね。
うーん……入力自体そこまで面倒とも感じていませんし、保存はしないでおく方向でいきましょうかね。ぱぱっと始めたい人やログアウトを頻繁に行なう方等は保存しちゃうのでしょうけれど。
一人暮らしですので防犯対策は大事ですね。まぁコレはゲームのですけれど。
『いいえ』を選択すると、前回アバター作成後に感じたような、フワリと体が浮き上がる感覚が私に襲い掛かってきます。この浮遊感、なかなか慣れません。
上昇や下降の速度が速いエレベーターで、ぐわーっと移動しているような少々気持ち悪い感覚なのですよね。おもわず身体に力が入ってしまうくらいは気になる感覚です。
そこそこ車酔いをする性質なのでそれも関係しているのかも。
そして相変わらず、目を開いたままの状態で移動したはずなのに、そのままの状態で目を閉じてゲーム世界に立っていることに、毎度の違和感を感じてしまいす。
目を開けた状態でさらに目を開ける、みたいなどうやっても無理な行動をしている感覚が微妙にあるのです。ログイン直後だけなのですけどね。
目を開くと予想通り噴水前に出現いたしました。
辺りを見回すと、ログアウトする前より露店や屋台は減っていますね。流石に一晩中プレイしている人は居ないですよね……居ないですよね?
日差しの傾き具合や、あたりの状況から鑑みると、おそらくは現実世界でログインしたタイミングと大体同じ時間帯ではないかと思われます。
おもわずウーンと背伸びしてしまうくらいには朝の雰囲気です。
昨日ログアウトする前に点灯していた街灯の様な機械? も今は光を灯してはいませんし。
そうだ、昨日よりは尻尾や耳を動かせるようになっているのではなかろうか? と思い立ち、昨日と同じように噴水の水面に姿を映しながら、色々試行錯誤しつつ狐的な身体部位を稼動させる試みをスタートさせます。
うごけーうごけーと念じつつ、ぐぐっとコメカミや眉間あたりに力をこめるような動きをしてみますと。
クイクイッと狐耳がちょっとだけ動きました! おお! やった! 狐部位可動スキル的なモノの熟練度が溜まったのかもしれない! そんなモノが存在するかはさておき!
ふふふ、となれば尻尾もいけるはずでは無かろうか? いやいける!
尻尾やお尻周辺を動かすような気持ちで色々と身体を動かしてみます。準備体操にもなって一石二鳥ですね! アバターに準備運動が必要なのかは判りませんけれど。
こう、尾てい骨の部分を意識しつつ念じてみると、ちょっとだけ尻尾が動いたような気がしました。動いたよね?
顔を後ろに向けて尻尾を見ながら色々動く、というのは少々キツイですね。見づらい。
尻尾を動かさないように固定する事に関しては大分なれてきた感じがします。腰の辺りに力を入れる感覚で良いようです。まだしっかりと意識してやらなければ駄目ですけどね。悩ましい。
でも何となくですが手応えを感じました。
毎回ログインしたら準備運動みたいに狐部位可動訓練をしていけば、きっと自由自在に動かせる様になる日も近いのでは、と強く感じる今朝の私。
いける、いけるぞ! ふふふ見ていてくれたかね胃酸魚くん!
などと、噴水で今日もお仕事をしている魚を眺めながら一人でウンウンと頷き、ある程度実感できた成果に喜んでいると、噴水周りに人がポンポン出現している事に気がつきました。
おっと、この場所でログアウトした人って他にも結構いらっしゃるみたいですね。邪魔にならないように端の方に移動しておきましょう。
屋台の少ない東側の路地前辺りに移動し、路肩横にある少々出っ張っている敷石に腰を落ち着けます。
とりあえず朝の空腹度回復と致しましょう。昨日買った串焼きをアイテムボックスから取り出します。
空中に浮かぶお肉。湯気も出ています。
流石アイテムボックスです、しっかり時間停止の効果が出ていますね。
では頂きます! と串焼きを胃袋に収めていきます。現実の起床時だとお肉とか到底胃袋に入らないのですけれどね。うまうま。
こう、美味しい食事が出来る、という事だけでもこのVRゲームを始めて良かったなぁと思えるくらいになってきましたよ。
お料理……自分では絶対挑戦しませんよ? そこは譲れないラインです。危険度指数的に。
うん、ご馳走様でした。コレで暫くは空腹に悩まされる事はないでしょう。
さて、それでは今日のゲームプレイ開始です。今日は一体どんな出来事に遭遇するのでしょう。
よーし! 何から手を付けていきましょうかね!




