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034 なめし革作成 『もみもみもみ』

モミモミ。

 生産スペースへ持ち込む用にもう一杯【光茶】をコップに注ぎなおしますと、制限時間を気にしつつ来た道を引き返します。

 ポーションを作っていた時と同じ様な感覚なのであれば、程よく洗浄した毛皮の水分が飛んでいてくれている筈。


 257のスペース前のドアまで戻った私は、ささっとドアノブにお尻を向けてロックを解除すると、内部へ帰還いたします。

 コップをテーブルに置きますと、早速毛皮の状態を確認しに向かいます。どうかなー?


 魚の口から垂れ下がった状態で放置しておいた毛皮へ、手のひらをペタリと触れさせてみましたが。


 うん、程よい乾燥状態になっております。現実より大分乾燥が速いですよね。


 この現象はゲーム内部の設定なのか、それともスキルを使って作業を進めている影響なのか。どちらなのでしょうね。ゲーム内システムの検証とか好きなプレイヤーの方が、そのうち解明して下さる事をお祈りしておきましょうか。


 先駆者様、どうぞ頑張って下さいませ。


 えーと次はどうするのかな? スキルメニューを開きなおして工程の確認を致しましょう。


 なになに、次は毛皮の裏面の不要な部分を削り落としていく、と。


 スキル内の作業工程説明内に使う道具の説明が入っていて、非常にわかりやすい感じですね。

 ふむふむ、この丸っこい木製の台座のような物に毛皮を裏返して乗せて……こっちの両手で保持するタイプのホンノリ曲線を描いた棒みたいなヤツでガリガリと削るのか。


 この削る用の器具、ぱっと見た感じ自転車のT字ハンドル部分みたいですね。

 木の台座のほうは、お馬さんの背中に乗る時に付ける鞍みたいな形状です。


 まぁ初めての作業なのであまり深い事を考えず、大胆な気持ちで進めていってしまいましょう。

 1枚なら失敗しても問題ありませんからね。

 毛皮の在庫は4枚、なめし革は3枚完成でクエスト完了したはずですからね!


 台座の上に毛皮を1枚広げて設置すると、T字ハンドルを両手で持ってゴリゴリ裏面を削っていきます。ゴミが飛び散ったりはしないで、削れて行く先から光になって消えて行っているみたいですね。

 作業後に掃除機とかホウキをかけなくても良いのは助かります。


 レンタルした場所とはいえ、汚くしたまま退出するのはちょっと気が引けますし。


 強く削りすぎると毛皮に穴が開いてしまうかもしれませんので、程よく弱めにしておきましょう。

 大体裏面全体を削り終わったので手で触って見ます。

 うんうん、結構いい感じじゃないかな?


 この調子で、他の毛皮もどんどん加工していきましょう!


 残り3枚の毛皮も、同じ作業工程を進めていきます。4枚目を削っている頃には、大分この工程にも慣れて来ました。無理に出来栄えを良くしようとしないで、程よい感じで止めておくのが【革細工】初心者である私には正解なようですね。


 完成に拘りを持つのはもっと【革細工】のレベルが高くなってからにしましょう。

 材料も心もとない事ですし。


 とりあえず使用した器具を軽く水洗いしましょうか。

 裏面を整え終わった毛皮は、取りあえず重ねてテーブルの上において置きます。


 機材を魚の口に入れて水を流してざばーっと洗浄いたします。またも口の中に異物を放り込まれる魚くん。ああ職務に忠実ですね。まけるな飲みすぎ魚。


 ざばざばーっと器具を洗っては見たのですが、余り汚れてはいないようです。


 削り取られた分はどこかに消失してしまっている訳ですから、当然といえば当然なのですが。


 あ、ポーション作った後に【初心者用調薬キット】も洗浄してないけれど大丈夫かなぁ。アイテムボックス内部は時間の進みが止まってるっていう話だし、劣化したりこびり付いたりはしていないと思うけれど。


 後で確認してみないとね。それか今度ポーション作る時、事前に洗ってから使おう。


 洗浄を終了させた二つの器具を手に持ちつつ【初心者用調薬キット】の事は忘れないように心に留めてく事にしました。忘れても、きっとポーション作ろうとした時に思い出すでしょう。うんうん。


 【乾燥の壺】に二つの器具をポポイと放り込んで急速乾燥させると、次の工程を確認いたします。


 次はー……えー専用の入れ物に水を満たして中に毛皮を暫く漬け込む、と。ふむふむ。


 四角くて一辺が30センチ程の長さの、深めのトレイのような容器が説明文に表示されています。

 これに水を満たして毛皮を入れれば良いのかな。


 キットの中に含まれていた専用トレイを持ち上げて、魚の口の上に差し込むと宝石をプッシュ、ザバザバと中に水を溜めます。

 どういう原理なのかは判りませんが、トレイに溜まった水が微妙に青く光ってますね。

 何かの魔法か、また魔法なのか! 


 キラキラ輝く青い水というファンタジーな光景に唸りつつ、大体容器の半分ほどまで水を溜め終わります。

 トレイを傾けて零さないようにゆっくりと移動してテーブルまで戻り、中に先ほど加工した4枚の毛皮をザブンと沈めて、ひとまずこの工程は完了です。


 アイテム作成メニューの説明によると、大体30分程漬け込むと完了らしいですが……このままでは生産スペースの使用制限時間に絶対間に合いません。


 ですので、早速例のあの加速木箱を使ってみましょう!


 取っ手部分を掴んでみると、意外と頑丈に作られている事が判る蓋をガチャリと開け、中のスペースにそーっと水と毛皮で満たされたトレイを設置します。大きさ的には結構ギリギリですね。

 蓋を閉めると横についているタイマーダイヤルを30分の所までグルリと回します。


 さてさて、どれくらい早く終わるのかなー?


 濡れた手を【乾燥の壺】に突っ込んでまた乾かしますと、椅子に座って光茶を頂きます。はー落ち着く。

 それにしても便利な道具が一杯あって、一度使い始めるともう無しではいられない! みたいになりそうですよね、この生産スペース。


 なにせドリンクも無料ですし。


 テーブルの上に設置しなおしておいた識別札のタイマーは、既に残り20分を切っておりました。

 あああ結構時間経ってるぅ!? これって万が一の場合は延長とか可能なのでしょうか。

 その辺り受付のお姉さんに聞いておけば良かったかなぁうーん。


 などと考えつつ光茶をチビチビ飲んでいますと、チーン♪ という完全に電子レンジの終了音だろう、と思われる音が箱から鳴りました。

 ……やっぱり電子レンジじゃないか! あの神様の仕業だな。


 蓋を開けて中からトレイをゆっくりと取り出し、毛皮を押さえつつ中に満たされていた水をザバーっと魚の口に流し込みます。


 次の工程は、この毛皮をしっかりと乾燥させる、と。


 しっかりって表記されてる位ですし、此処は一つ【乾燥の壺】に入れて乾かしてしまいましょう!

 4枚の濡れた毛皮を【乾燥のつぼ】の中に放り込みます。手を乾かした時は数秒で乾きましたが、あの湿り具合からみてとりあえず30秒位は中に入れておきましょうか。

 中に入っている毛皮をじーっと見つめつつ時間を待ちます。


 おお、なにやらスルメを炙っているかの如く乾いていきます。

 何というか完全に干物チックな形状になっていらっしゃる。

 これはもう取り出しても良さそうですね!


 【乾燥の壺】から4枚の乾いた毛皮を取り出します。


 うむ、結構ゴワゴワとしている様な気がします。裏面を指で弾いてみましたが、カッチカチな干物の感触が。このまま鞄とか身につける物等に加工するにはちょっと硬すぎですね……


 テーブルの上に4枚の乾燥させた毛皮を置いて見ますが。

 乾燥させた形のまま直立しました。やっぱりこれ硬い! 硬いよ!


 うう、次はどうするのかな…… 

 えーっと? なるほど、このカッチカチに乾燥した毛皮を手で揉んで柔らかくするのか。

 でもこの乾燥毛皮……私の貧弱な腕力で揉めるのでしょうか? 大丈夫かなぁ


 ええい、悩んでいても仕方ありません。此処は一つチャレンジしていって見ましょう!


 意を決して1枚の毛皮を手に取ると、思い切り力をこめて端の方からグニグニと揉んで柔らかくしてみます。あれ、何でだか判りませんが意外と行けるぞ?


 さっき確認した時は大分硬くて大変そうだなーと思っていたんですけれど。

 意外や意外、さほど腕に力を入れなくてもモミモミ柔らかくなっていきます。


 あっ判った! これってシステムの補正ってヤツかも? じゃないとあんなに硬い物体を、こんなにモミモミできるはずが無いですよね! 恐らく【革細工】のスキルの恩恵というヤツです!

 そうと判れば話は別です! もう鼻歌交じりで毛皮をモミモミいたします。ふんふーん♪


 揉んでいく度に手触りが良くなっていく毛皮に、思わず顔がニンマリとしてきます。

 ふふふーん嬉しいなぁー♪

 物が自分の手の中で完成していくのは楽しいですね!


 スキルの御蔭で不器用な私でもこんな事が出来るのですから、本当有り難い事です!

毎度の如く、週末は投稿日時が開く可能性が御座います。

申し訳ありません、ご了承下さいませ。

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